※ネタバレはありません。
「映画の終わりやラストシーンが素晴らしい!」
「最後の最後でニヤリとさせられる♪」
「ラストカットに仕掛けが待っていた!」
「思わず『上手いっ!』と唸ってしまう♪」
特にハリウッドではそういう映画ってとても多いですよね。
その最たる形を表現してるのが今作じゃないでしょうか(^△^)♪
そして、今ではひじょーーーーにネームバリューのある↓の三名。
・ジョセフ・ゴードン=レヴィット
・クロエ・グレース・モレッツ
・マーク・ウェッブ監督
現在ハリウッド一流メーカー達の一員である彼らを世に送り出した佳作♪
草食系男子っぽい主人公トムが、魅力的なサマーという女の子に恋をする物語。
しかし、映画の冒頭で「この映画はボーイ・ミーツ・ガールだが、決して恋愛映画ではない」と宣言されているんです。
悲しいかなその通りですね。
(他の特集で紹介するよりはここが一番相応しいと思ったので、今回紹介しています。あえて。笑)
確かにトムは恋に落ちていますが、サマーからしてみれば、トムは友だちに過ぎないんですね。
一緒に遊んで、キスをして、一夜を共にしても、サマーにとってトムはただの友達に過ぎないのです。
そういう恋愛観のキャラクターです。
確かに最初から彼女は、二人の付き合い方について、友達ならOKと宣言しています。
映画は始終トム視点で進むので、一見恋愛物語に見えますが、片方はそれを恋愛と認めてないのです。
だから正確には恋愛映画とはいえないんですね。
そういう意味合いが、映画の冒頭のメッセージ込められています。
先に述べたようにこの映画はトム視点で全て描かれています。
そのため、男の子の心の変化みたいなものを、余すところなく、且つうま~く描き出してますね♪
付き合う前の、期待しちゃう気持ちと、期待しちゃいけないという気持ちの浮き沈み。
綺麗な女の子を前にした時の怯んでしまう気持ち。
心底惚れた女性と初めて一夜を共にした翌朝、その時の浮かれ具合。
失恋の不安に怯える姿や、恋に落ちて次第に強くなる独占欲。
そういう気持ちをスクリーンに「映像」という手法で繊細かつコミカルに、そしてポップに映し出しています。
では一体どんな映像の手法を使っていて、どんな面白さがあるのか?それをご紹介。
・時系列の入れ替え
・ナレーションでのストーリーガイド
・『第九の使徒』という古い映画のパロディ
・2画面に分割して現実と妄想を並行表示
・インタビュー形式のシーン
それにしてもまぁ、ミニシアターらしく、実験的なものも含めて仕掛けが満載でとっても面白い。
その中でも一番特徴的なのが、『(●)day』と幕間毎のタイトルのような形でのテロップを伴う時系列の入れ替えです。
『ソーシャル・ネットワーク』の記事でも書きましたが、この時系列を入れ替えるという演出だけで、(もちろんそれが巧妙であることが前提ですが)非常に映画として"サスペンス"が生まれるんです。
素直に時系列に沿って観せてくれないから、観客は整理や理解や物語のキャッチアップに、小さな緊張を強いられます。
だからこそ最後まで興味を持っていられる。
普通に頭からだらーっと流しただけでは、今作の魅力は低減していたかもなとも思います。
一方で今作に限ってはその時系列の入れ替えは、違う効果、もといある事の象徴になっているのかな、とも思っています。
サマーとトムの出会いの日から、時系列が行きつ戻りつします。
その度、その日が出会ってから何日目かというシーンが挿入されます。
その時の2人の状況、否、正確にはトムの気持ちの明暗がスケッチの様子で表現されているんですが、これがまたお洒落♪
映画の最後の方、トムは妹にこの恋をもう一度振り返ってみて、と言われます。
トムは言われた通りそうしますが、その回想がやはり時系列がバラバラなんですね。
本編の大きな構成もそれと同じ作り方がされています。
人が実際に想い出を振り返る時って、映画やドラマのように普通に最初から最後まで時系列に沿って流れていく事の方が稀なんじゃないでしょうか?
あんな事あったな、こんな事あったなと記憶があっちにいったりこっちにいったり。
その中で気持ちの変化を比べてみたり、何故そう思ったのか、何故そう行動したのかなどを一歩ひいた感覚で見られたりするものじゃないでしょうか。
過去の出来事が時系列でキレイに思い出せて一喜一憂するのではなく、ある程度起こった事もそれがいつ起こったかも少し忘れかけていて、気持ちだけは冷静に思い出せる、この恋愛の棚卸しのような行為。
映画全体がその恋愛の棚卸しをしているような感じで構成されているのが、とっても印象的です。
これが時系列の入れ替えが象徴していることかな、と思う訳です。
それでは、前フリが長くなりましたが本作のあらすじをご紹介♪
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■『(500)日のサマー』あらすじ
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・オープニングタイトル
(500) Days of Summer
・(290)day───。
トムの妹レイチェル(クロエ・グレース・モレッツ)は、彼の同僚のマッケンジー(ジェフリー・エアンド)と友人ポール(マシュー・グレイ・ギュブラー)に呼ばれ、失恋したという兄の相談相手になる。
マッケンジーらは、次の恋人を探せとトムに助言するが、彼はやり直すと言い張る。
・(1)day───。
トムは企画会議中に、ボスのヴァンス(クラーク・グレッグ)の新しいアシスタントであるサマーを紹介され、彼女と出会う。
・(3)day───。
マッケンジーは、そんなサマーを、お高くとまった嫌味な女だと言うが、トムは相手にしない。
・(4)day───。
トムが偶然サマーと同じエレベーターに乗り合わせた時、ふいにサマーは「わたしもザ・スミスが好き」と声をかける。
その瞬間、トムは一気に恋に落ちてしまう。
そこから二人の交流が始まり、ストーリーはトムの空想と、サマーとの実際の関係を絡めてどんどん進んでいくのだが…。
映画の導入部がそのままYouTubeにあるので、それをご覧頂ければより映画のトーンが分かるかと思います。
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■ラストシーン
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もうね、とにかく観たらニヤリ( ̄+ー ̄)としてしまう事請け合いです(笑)
世の中にはラストでニヤニヤとさせられる映画がたくさんあります。
本作はその中でもピカイチな一本です♪
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■ミュージカルシーン
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最初観た時は、このシーンとラストシーンが一番印象に残りました。
♪♪500 Days Of Summer - You Make My Dreams
まさかミュージカル調のシーンがあるとは思わずに観てたから嬉しい驚きでしたね。
BGMは『You Make My Dreams Come True』by Hall & Oates。
よくぞまぁここまで分かりやすく男心を表現できました!っていうね(笑)
どういう男心かは是非作品をご覧になって頂ければと♪笑
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■IKEAデートシーン
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このシーンがとっても面白い対比効果を生んでいて、素晴らしいですね
最初はどんな下らない事でも一緒に笑っているんですが、最初の新鮮さや盛り上がりがひと段落したサマーはトムの言葉やリアクションを完全スルー。
これは笑っちゃうくらいツラい…笑
おそらくですけど、この2回目のIKEAデートはトムから誘ったんでしょうf^_^;
あの楽しかった時をもう一度、的な。
そういうトムの心情を表していたり、2人の時間の経過を分かりやすく伝えているという意味で、興味深いシーンを脚本に入れたなーと思います。
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■ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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本作ではだいぶ草食系男子としての印象が強い彼です。
しかし、それ以降の作品では幅広い役を見事に演じ分けています。
■ダークナイト ライジング
・・・キーマンとなる熱血刑事
■インセプション
・・・シャープなポイントマン
■リンカーン
・・・リンカーンの息子、ロバート・トッド・リンカーン
■LOOPER/ルーパー
・・・ブルース・ウィリス演じるキャラの若かりし頃
■プレミアム・ラッシュ
・・・ハイレベルなバイクテクを持つ向こう見ずなメッセンジャー
■メタルヘッド
・・・下品で粗暴で非常識でぶっ飛んでるけどカリスマ性のある1人の男
■50/50 フィフティ・フィフティ
・・・ガンにかかり余命宣告を受けた青年
そして、最新作『Sin City: A Dame to Kill For』(邦題:シン・シティ:ア・デイム・トゥ・キル・フォー)では、ギャンブラーという役どころで、"あの"シン・シティで暴れ回るみたいです( ̄▽ ̄)
さらに、実はジブリ宮崎駿氏の引退作『風立ちぬ』(英題:The Wind Rises)の主役「堀越二郎」の声優はなんとジョセフその人なんですね。
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■クロエ・グレース・モレッツ
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おやまぁ、こんなに艶っぽくなっちゃって(//▽//)
この時はまだまだ無名で、後に出演した『キック・アス』でヒット・ガールを演じ一気にスターダムへ♪
顔は幼さを残すんだけど、喋ると色気を放つ、そんなギャップが強みな女優さんだなーと思います。
個人的になんか気になっちゃう女優さん。
まぁ、好きって事です(笑)
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■ズーイー・デシャネル
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小悪魔ってこういう顔や雰囲気の人を言うんでしょうってくらい、雰囲気だけでキャラが立っちゃう役者さんですね。
決して大きなバジェットの作品に出てる訳ではありませんが、出演数はとても多く、映画ファンにはお馴染みの女優さんです。
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■マーク・ウェブ監督
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アメリカンドリームってこういう事かな、っていうキャリアを持つ監督さんです。
・主な作品
『(500)日のサマー』
『アメイジング・スパイダーマン』
『アメイジング・スパイダーマン2』
『アメイジング・スパイダーマン3』(予定)
『アメイジング・スパイダーマン4』(予定)
最初の監督作品である本作が、いきなりゴールデングローブ賞にノミネートされ、その成果を切符にドル箱映画『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの監督に起用されるという(笑)
個人的にはスパイダーマンシリーズは現在やっているリブート版の方が好みなので、マーク・ウェブ監督の作品は今のところ全部好きって事になります(笑)
本作での役者さんの細かい表情や感情の流れや仕草など、スパイダーマンシリーズの主人公カップルのやり取りを観ていても、男女の恋愛絡みの描写がすごく得意なんだろうなというのが分かります。
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■あとがき
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恋愛もの(一応、本作を含めて)で自分が自信をもって薦めらるのが、『ホリデイ』『最後の恋の始め方』と本作です!
これは気になったら観て下さいというより、気にならなくても観て下さい!って作品です(笑)
騙されたと思って観ていただければ損はさせません( ̄▽ ̄)♪
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■予告編
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■特集『ラブ・ストーリー』
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第1弾【マイ・ブルーベリー・ナイツ】
第2弾【(500)日のサマー】
第3弾【ミッドナイト・イン・パリ】