№9
日付:2020/3/26
タイトル:彼らは生きていた | THEY SHALL NOT GROW OLD
監督:Peter Jackson
劇場名:キネカ大森 キネカ2
パンフレット:あり(\400)
評価:★★★
 

「『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督が、イギリスの帝国戦争博物館に保管されていた第一次世界大戦中の西部戦線で撮影された未公開映像を再構築。2200時間にも及ぶモノクロの映像を修復・着色し、バラバラなスピードだった映像を1秒24フレームに統一させ、リアルさを追求した」作品との事。

 

当時の映像やチャップリンの映画なんかを今観ると、コマ飛ばしの早送り映像のようなぎこちない動作になっている。1秒当たりのフレーム数の少なさによるこの問題を現在の技術で見事に修復。加えてカラー化と、無声映画に様々なSEを施すことで、違和感のない自然な映像に蘇らせている。100年以上昔の映像が、まるで修復を終えた絵画のように鮮明に広がる。

 

当時の勧誘ポスターに始まり、入隊募集の様子から、数週間の訓練、送り出された戦場の様子とドイツ軍との激闘、そして終戦を迎え地元に戻るまでの映像に、元兵士達の回顧音声が“解説”として加わる。

先日観た「1917」同様に塹壕が広がる前線の映像は、あの作品が所詮は作り物でしかない事を実感させてもくれる。そこら中に転がる屍の中で人殺しに励みながら、感情のある部分が麻痺していく様を、生き残った者たちが当時を懐かしむように振り返る。平和な故郷に戻った彼らを待っていた殺戮未経験者たちによる差別は、既にこの大戦から始まっていた。

 

延々と続く記録映像と、当時を解説する大勢の戦争体験者たちのモノローグに、数回意識が飛びそうになりましたが、モノクロがカラーに変わる瞬間、眠気が吹っ飛んだ。

 

 

パンフレット