№21

日付:2014/9/20

タイトル:るろうに剣心 伝説の最期編

監督・共同脚本:大友啓史

劇場名:109シネマズ湘南 シアター2

パンフレット:あり(\820)

評価:★★☆


第1作であれほど斬新かつ手堅い実写版作りに成功した大友啓史監督なのに、なんでこの続編は前後編共にこんなにもとっちらかった出来になってしまったのだろう。

前篇の終わりで嵐の海に放り出されたにもかかわらず都合よく生き延びた剣心と薫。これまた都合よく現れた剣心の師匠比古清十郎に奥義を教わるまでの間延びした修行と問答。明治政府を壊滅すべく甲鉄艦"煉獄"を擁し新首都東京を目指した志々雄真実一派が浦賀沖に停泊し浪費する時間。剣心処刑の場に敵味方が集う茶番劇。ゴレンジャーの如く志々雄一人に寄って集って攻撃を加える、決闘の美学を感じさせないクライマックスに、披露するタイミングを見誤ったかのような奥義の発動。そして不殺の誓いを立てた剣心が、銃や剣でバンバン敵を殺す政府軍と徒党を組んで志々雄に迫る不条理さ。


それなりにボリュームのある原作のエピソードだからこそ前後編合せて4時間半もの大作にせざるを得なかった筈なのに、その結果出来上がった作品からは映画としてのユルさや冗長さばかりが目立つのだから、映画作りは難しい。大友監督の手腕は、人気原作物を常に卒なく仕上げる山崎貴監督のような器用さに欠けていたという事か。

本シリーズ最大のキラーコンテンツである谷垣健治アクション監督の手による殺陣も、1作目のようなマッチメイクの妙味が感じられない結果、既視感のある戦いの連続で飽きてくる。


見終わった瞬間に漏れたため息は、1作目を遥かに上回る出来だと達成感に満ちた発言を繰り返す監督と出演者の自信満々な様子への素朴な疑問と共に湧いて出ました。


るろうに剣心 伝説の最期編

るろうに剣心 伝説の最期編

るろうに剣心 伝説の最期編