斬新だった母の家ごはん | ビバ★ネブラスカ生活

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アメリカ中西部に生息する普通の主婦の普通のレポート?!


私の亡くなった母は とっても 優しく家庭的な母性の塊のような人だった

だから 晩年 母が口にした言葉に私は少し驚いた


『 私は家事が苦手で好きではないのよ・・・・ 』 


自分には合わない仕事だと言ったのだ

これは私にとって青天の霹靂だった

母がこんな事を思っているとは 全く考えた事もなかったからだった


でも 一つ 思い当たる節があった

それは料理


母は喫茶店のパートを25年していたので

とっても おしゃれな人だった

だけど 料理のセンスはお世辞にも良かったとは言えない


もちろん 忙しかった事もある

だけど 基本的に少しずれているところがあった


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例えば 私が今でもよく覚えている料理

※ 摺ったとろろいもが入った炒め物

※ わかめが入ったケチャップ味のスパゲティ

※ 豆腐が入ったレトルトのコーンポタージュ

※ 白滝が入った焼きそば


これらは本当に斬新で衝撃的だった


母の母は全く料理をしなかった人だし

母は父を婿養子に取った為

義理の母からも 料理を習う事がなかった

そして 外食なんかは まだまだ贅沢だった時代

自分でいろいろと栄養を考えたのだろう

母の娘である私は 何故か料理の基本が

あまりずれていなかったようで

この衝撃的な料理たちにビックリした訳だ


そして まさか 見た目が嫌だとか

まずい・・・とも言えず 申し訳ない程度に食べて

『 なんだか もう お腹がいっぱいだから・・・明日食べるね 』 などと

白い嘘 (人を傷つけない為の罪のない嘘) をついた

今思うと悪かったなぁ~と思う 


だって 愛する人の為につくる料理には

愛情が入っている

『 栄養満点だよ! 』 と よく母は言っていた


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私は 今 義理の息子 13才のマイケルと

ほぼ 母子家庭のような生活をしている

旦那が長距離のトラックドライバーで

一ヶ月に3日程度しか 家に戻ってこられないからだ


そして 日本食とアメリカの食事を知っている私は

出来る限り日本食を作る

知り合って三年

今ではマイケルもずいぶん食べてくれるようになったけど

それでも 時々 口に合わないものがあるらしい


そして 彼はそんな時 私にこんな風に言う

『 きょーこ ・・・ これ とっても美味しいんだけ
 もう お腹がいっぱいだから 
明日 必ず食べるから 残してもいい??? 』 


あの頃の私と同じだ


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アメリカ人で10才まで日本食を食べた事がない彼にすれば

日本食は不思議な物ばかりらしい

でも 一緒に生活するようになってから

彼の食事内容は大きく変わった

それは彼からすれば 食事革命と言ってもいいくらいの

激震に違いない


そして あの頃の私のように白い嘘ついてくれる

決して 『 まずい 』 とか 『 嫌いだ 』 と言わない


料理は作る側も 食べる側も

愛情が必要だなぁ~って そんな事をふと思った


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