「ほんの20年前だったら、このような本はバカバカしいかぎりであったろう。第二次大戦前に成長した人びとは、シャーロック・ホームズ物語の背景となったヴィクトリア朝・エドワード朝に多くの根をおろしていたし、1930年代・40年代に生きていた人びとの多くは、ホームズの時代に成人であったからだ。当時、物理的・知的状況は重大な相違を見せていなかったし、物の見方や語彙(ごい)にさほど変化がなかったのも確かである。徹底的に機械至上主義で、傲慢(ごうまん)なほど楽天的な19世紀についての説明を必要としているのは、1950年代の電子工学革命中、あるいはそれ以後に生まれたわれわれである。」・・・「シャーロック・ホームズ事典」序文より。


 著者ジャック・トレイシーはアメリカの有名なシャーロッキアンです。この「シャーロック・ホームズ事典」は「ホームズ物語」に登場する約800人の人物名をはじめ、地名、事件名などを2700項目にわたって、図版184枚を含め解説したシャーロッキアン座右の書です。

 

 下の3冊は全部同じ内容の本ですが、一番下の「シャーロック・ホームズ大百科事典」だけは、日暮雅通氏が24年ぶりに新訳として全面改訳した本なので、別物と考えたほうがいいかもしれません。あと、1978年版の後に新装版「シャーロック・ホームズ事典」(1980年)が出ているのですが(内容は同じ)持っていないのでいずれ手に入れるつもりです。


 同じ内容の本だから買わなくてもいいと思うでしょうが、これがコレクターの習性なので集めずにはいられません。



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
シャーロック・ホームズ事典  パシフィカ 1978年

ジャック・トレイシー  各務三郎 監訳  大村美根子/風見潤/日暮雅通 訳


 
珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
シャーロック・ホームズ事典  すずさわ書店 2000年

ジャック・トレイシー 著  各務三郎 監訳



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
シャーロック・ホームズ大百科事典  河出書房新社 2002年

ジャック・トレイシー   日暮雅通 訳