イスタンブール発、オリエント急行列車内でアメリカ人富豪が殺された。偶然乗車していた名探偵・エルキュール・ポアロ(アルバート・フィニー)は、旧友で鉄道会社の重役・ビアンキ(マーティン・バルサム)に事件の解明を依頼される。一等寝台車の乗客と車掌を尋問するポアロ。被害者との接点は?アリバイは?ポアロの「灰色の脳細胞」は、迷宮を彷徨いながらも見事な推理を導き出す・・・。
アガサ・クリスティー原作「オリエント急行殺人事件」の完全完璧な映画化。製作者ジョン・ブラボーンはアガサ・クリスティーに編集が終わった時点でこの映画を見せるという冒険をおかしたが、アガサは手放しで大絶賛。アガサははじめて自作の映画化に満足したという。
エルキュール・ポアロが登場する映画の最高傑作は間違いなく本作でしょう。ブラボーンが”キラ星の行列”と言ったというほど豪華絢爛な出演者たち。そして何より、ポアロを演じたアルバート・フィニーが素晴らしい。驚く事にこのときアルバート・フィニー38歳!メーキャップと服の中に仕込んだパットで身体を膨らませ、見事なポアロ像を見せてくれました。
豪華出演者と華麗な衣装を堪能し、走る列車内で起こる本格ミステリーを満喫。これほど贅沢なミステリー映画はないと思います。しかも監督が『十二人の怒れる男』のシドニー・ルメット。
まだ観てない人も、また、何回も観ている人(私は軽く10回以上観てます)も、本作を観ながら優雅な気分に浸りましょう。
ポマードで固めた髪と口髭にネットをかぶせ、手にハンドクリームを塗り手袋をはめて就寝するポアロ。いかにもポアロらしい虚栄心の表現としてはこれ以上ない最高の名場面。
イングリッド・バーグマンは、本作でアカデミー賞・助演女優賞を受賞した。
ヴァネッサ・レッドグレーブ