市川崑監督、石坂浩二金田一耕助シリーズの記念すべき第一回作品。市川崑監督は、自称推理小説ファンであり、アガサ・クリスティー女史を尊敬するあまり久里子亭(くりすてい)というペンネームまでもっているほどで、本作から最終作(病院坂の首縊りの家)まで、独特な映像美と論理的な推理劇で、完璧と言える本格推理映画を作り上げました。
映画は15、6本出演しているが、本格的な主演は今回が初めての石坂浩二。博学多彩な石坂浩二らしく、原作を丹念に読み込んで作り上げた金田一像を、ギリシャ悲劇の合唱隊、つまり神々の代弁者”コロス”と位置づけた。
「中央で展開される破局へと突っ走る悲劇を、悩み悲しみながらも最後まで見届けるコロス。舞台の中央へは登場することのないコロス。」まさに金田一耕助は”コロス”そのものだ!と。
この石坂浩二の金田一観が、控えめでありながらも観客に存在感を与える最高の金田一像を誕生させたのです。そしてナレーターとしても活躍し、説得力のある石坂浩二の口調がクライマックスの謎解き部分で絶大な効果を発揮しています。
石坂金田一を超える金田一耕助は今後も絶対に現れないだろう。
左から、(松子)高峰三枝子、(竹子)三条美紀、(梅子)草笛光子
(佐武)地井武男、(小夜子)川口晶、(佐智)川口恒、(珠世)島田陽子
左から、石坂浩二、(古舘弁護士)小沢栄太郎、(橘警察署長)加藤武
(藤崎鑑識課員)三谷昇、刑事役で出演した角川春樹
(柏屋の亭主)三木のり平
、(妻)沼田カズ子
人気がある佐清マスクと有名なシンクロナイズドスイミング死体