珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
なつかしい風来坊  1966年(昭和41年)


内容

 民生省の課長補佐の早乙女(有島一郎)は電車の中でひょんなことから風来坊の源五郎(ハナ肇)と知り合う。偶然に再会した夜、早乙女は源五郎を家に泊める。境遇がまったく違う二人なのになぜか心に通うものがあった。何度目かの訪問の際、源五郎は自殺未遂の愛子(倍賞千恵子)を連れてきた。お手伝いさん代わりに愛子を預かった早乙女だが、源五郎がいつしか愛子に惚れてしまったことを知った・・・。


解説

 ハナ肇、倍賞千恵子、山田洋次監督とくれば人情喜劇の傑作”馬鹿シリーズ”の人気トリオ。この作品では、芸達者の有島一郎を加え、山田監督が同シリーズ最高作の痛快コメディーに仕上げている。

 管理体制の中で無気力な生活を送る中年サラリーマンと、自由気ままに生きる男との奇妙な友情がしみじみとさわやかに描かれる。

 ハナ肇がブルーリボン賞主演男優賞、山田洋次は同賞の監督賞に輝いた記念すべき作品でもある。(ビデオ裏表紙より)


 「男はつらいよ」シリーズの最初(TV版)が1968年(昭和43年)。それ以前の山田洋次作品で「男はつらいよ」の原点となった作品だと思います。

 観る前の予想では、ハナ肇が頭の悪い風来坊で「寅さん」のように笑わせ、脇を固める有島一郎が、要所で笑わせてくれると思っていたのですが、観た後の感想では、有島一郎が全編で笑わせてくれて、ハナ肇の印象が薄くなってしまった感じでした。

 有島一郎の、「痔」が痛い時の演技、酔っ払ってる時の演技、役所に勤めてる時の演技など、笑わせてもらいながら「うまい!」と唸らせてくれました。東宝で、森繁久彌、三木のり平 と並び、名喜劇役者と言われていただけに「さすが!」と言うほかない見事な演技です。



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・