台湾の王金平立法院長(国会議長)は20日、
台湾各界から寄せられた日本への義援金は同日午前の時点で、
50億台湾ドル(約142億円)を超えたことを発表した。

3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震。
未曾有の被害をもたらした大災害に心を痛め、多くの台湾人が、
「困っている親友を助ける時が来た!」と立ち上がった.

1999年9月21日に発生した台湾中部大地震と、
一昨年の8月に台湾南部を襲った台風災害に苦しんだ時、
日本がどの国よりも早く支援すると表明し、多くの救助隊を派遣し、
多くの援助金をくれたと、深い恩を感じているとのこと。
政府だけでなく民間人も一丸となり、
「恩返しする時が来た」と募金活動を始めたのだ。

九州ほどの面積しかない台湾の人口は約2,300万人。
サラリーマンの平均年収は約150万円、
コンビニ・バイトの時給は約300円と日本に比べ、とても安い。
しかし「"親友"である日本が大変な思いをしている。
一人でも多くの被災者が家を建てられるよう、少しずつ出し合おう」
と老若男女こぞって募金に参加。

地震発生から1時間後、台湾外交部は馬英九総統が、
約2,500万円の援助金を送り、
要請があればすぐに救援隊を派遣すると発表。

夜には、親日家として知られる李登輝元総統が
「現在の日本の皆様の不安や焦り、悲しみなどを思い、
私は刃物で切り裂かれるような心の痛みを感じております」
「自信と勇気を奮い起こしてください」という
哀悼メッセージをインターネット上で発表するなど、
政治関係者の反応はとても早かった。
李元総統は個人的に義援金を送ったことも後に明かしている。

また同日夜11時、台湾人女性がFacebookで、
「今、できることは祈ること。青のペンで手のひらに日本語か中国語で
『日本の平安を祈ります(祈祷日本平安)』と書きましょう! 祈りましょう!」
と呼び掛けたところ、12時間後にはその写真が200枚を超えた。

一夜明けた12日、被害が尋常でないことを受け、
馬総統は義援金を2億8,000万円に増やすことを決定。
訪台中であった海部俊樹元首相に緊急電話し、哀悼と慰問の意を表明した。

13日午後には民間救援隊35人が寝袋500枚、石油ストーブ500台など、
数多くの救援物資と共に成田入りした。
同日、921(1999年9月21日に発生した台湾中部大地震)の被災者たちが、
「921では多くの日本人に助けてもらった。今度は、私たちが手を差し伸べなければ」
と募金活動を開始。

17日ゴールデンタイムには、国民的人気メロドラマ『夜市人生』の出演者たちなど、
台湾国内で活躍するタレント200人が集結した電話募金番組が生放送され、
約3億5,000万円が集まった。

18日の夜8時からは、ジュディ・オングなど台湾国内外で活躍するタレントや著名人
200人以上が集まる電話募金番組『相信希望 Fight & Smile』が、
主要テレビ局で生放送された。
夫人と共に自ら電話番をした馬総統は
「日本人は粘り強く、物事を冷静に処理する能力がある。
どんなに苦しくても生活を立て直す力がある。第二次世界大戦後もそうだった」とコメント。
有名タレントたちと共に、各県市の上級指導者らも電話番をした。

電子機器受託生産大手の鴻海グループの総裁が約5億5,000万円を寄付したほか、
台湾を代表する企業が次々と高額寄付をした。

番組後半では、「少ないけれど、ぜひ福島原発の現場で奮闘している50人の家族に渡してほしい」
と1億4,000万円を寄付した人も現れた。
放送中、画面下に誰がどれだけ寄付したのかが流れたのだが、
そのテロップが途切れることはなかった。
番組のテーマソング「believe 相信愛」は、この日以降、台湾中で流されるようになる。

23日には台湾の企業「エバーグリーン・グループ」の総裁が、
日本赤十字社に10億円寄付したことが明らかに。
同日、国民党は彰化県100世帯で被災者のホームステイ受け入れ態勢が整ったと発表。
大手自転車メーカーGIANTは5,600万円相当の自転車・電動自転車を寄付すると発表している。

その後も、台湾全土で募金活動が続いており、
各自治体、国民小学校、中学校、高校、大学でも募金活動が行われている。
また、各企業では「1日分の給料を寄付しよう」という活動が広まっている。

27日には李登輝元総統が、88歳という高齢であるにも関わらず立ち上がり、
「日本の被害は、とても深刻なものだ。皆で、より一層の支援をしよう」と、
今後も募金活動を続けていこうと呼びかけた。

30日、台湾の経済建設委員会は、主要貿易国である日本を襲った今回の震災被害が、
台湾経済へ与える損失は、540億円を超えるとの予測を発表。

台湾人は見返りを求めて募金活動をしているわけではないが、
もし台湾に何らかの恩返しができるとすれば、
一日も早く日本を復興することではないだろうか。

募金・支援活動は今日も、台湾全土で行われている。


謝謝、台湾大家!!!