最近の話ではありません
数年前の話です
息子は高校受験
娘は大学受験をそれぞれ控えていましたが
そのころ、夫は無収入でした
「夫の無収入」というのは
それまでに数回あったことです
給料日に銀行へ行くと
お金が入っていないのです
もちろん、夫は、銀行口座が空っぽなことは知っていたのですが、毎回黙っていました
私が銀行へ行ってはじめて
とんでもない事態を知る、という具合でした
夫はなぜ黙っていたかというと
私に打ち明ける勇気がなかったのです
え?それって…
いずれバレるよね?
黙っていたことがわかったら、更に責められるよね?
先にきちんと事情を説明すれば
少なくとも黙っていたことについては責められないのに…
誰でもそう思いますが
夫は、逃げてしまうのです
そういう人なのです
私に責任をとり、
そして現実というものに立ち向かうということが
出来ない人なのです
少額のカードの支払いも
払えなかったら、一旦カード会社に連絡すれば良いものを
どんなに督促状が来ても、まったく連絡をしませんでした。
本人もわかってはいるはずなのに
放置したらいけないとわかっているはずなのに
なにもしようとはしませんでした
逃げ切れなくなって
弁護士に助けを求めたのです
それらの滞った支払いが膨らんで
今になって、寝たきりになって得た保険金で
私が少しずつ返済している
そういう状況です
結局のところ、夫は自分でカタをつけているのかもしれない…そんな風に思います
そんなこと、ちっとも誇れたことではありませんね
けれど思い出すのです
いつも、わたしが泣きながら、
だらしない夫を責め立ててこう聞いていました
「一体何がしたいの」
夫はため息をついて、小さく答えていました
「mokoを幸せにしたかっただけ」
私の目を見れず、そうつぶやく夫の悲しそうな顔を
わたしは、思い出すのです
それはきっと、夫の本心だったのだと思います
幸せにしたかったのに
できなかった
自分でわかっていながら
どうにもならない、どうにもできない
軽く、浅はかに何かに手を出して
責任をとらずに逃げてしまう
それが家族にどんな迷惑をかけるか
わかってはいるのに
夫は、逃げてしまうんですね
結局、責任から逃げられなくなり
こんなことになってしまったのだと
私は思うのです
人間って、自分の責任から
逃げ果せることはできないのかもしれない
そんな風に思います
真面目でお人好しで、いい人なのに
心はとても温かい人なのに
そう思うと、本当に泣けてきます
なぜかとても悔しくて泣けるのです
何に対して悔しいのか、わかりません
夫はこの世の中で、たぶん、とても生きにくい人です
お金や社会の常識、責任
それらがない世界で、再び出会えたら
きっと私をとても大切にしてくれて
一緒に楽しく過ごせるのにね
夫は今、少なくとも
今まで夫を苦しめていた「責任」からは解放されて生きています
私はといえば、お金がなくては生きられない
社会の常識やルールに雁字搦めの世界に生きています
いろいろな物を背負い、生きています
正直、死んでしまったら
どんなに楽だろう
夫とともにあの世に行けたら
どんなに幸せだろう
そんな風に思うことも、この半年たくさんありました
子供も成人して
私がこの世に生きる必要を感じられません
それでもこの命を全うしたい
それを断つことは、悔しすぎてできません
私は何に対して悔しい思いがあるのか
よくわかりません
でも、悲しいとか辛いとか
そう言う思いより
とにかく悔しいです