その昔、西洋のある絵物語を小学校の先生に読んで頂きました。

 

ある国で年の終わり頃、天から神様がいっぱいお餅を降らせることになっていたのです。そしてそのいっぱいのお餅の中にたった一つ「幸せのお餅」というお餅があるんだという事になっていました。

 

お餅の天から降って来るのを多くの人達が大喜びでかき集めました。

ここで或る一人の静かな青年が皆の後に歩いて来ました。

 

そしてその青年は落ちていた1個だけのお餅を拾い上げました。それを観た周囲の人達は「なんだお前さんはたった一つしか拾わなかったんかい?」と心配というか珍しそうに青年を見つめながら去って行きました、

 

青年はそっと一人で帰宅時、そこを這って進んでいた小さな毛虫に出逢いました。

 

「お兄さん、わたしはこんな地を這う弱い存在ですけどどうかお友達になって頂けますか」

 

それを聞いた青年は「おなかが空いているんでしょう。ここに一個だけだけどお餅を僕持っているんだ。これをお食べ」

 

それを聞いた毛虫さんは「有り難うございます。だいじなお餅なんでしょう。それを私が頂けるなんて」と涙を流しお餅を頂いている姿が描かれました。その感動の表情、いじらしさ、美しさ、わたしにとって生涯忘れられない姿となりました。

 

それから数か月後、青年が歩いている時に美しい蝶が舞い青年の前に現れました。

 

「お兄様、私はあの時親切にして頂きお餅を頂いた毛虫です。今はこうして空を自由に飛ぶ事ができる蝶になりました。お兄さんにお礼が言いたくてやってきました。きっとあの時頂いたお餅こそがしあわせのお餅だったのでしょう」

 

蝶々は青年にお礼と尊敬の意を示すべく更に美しく青年の周囲を舞い、マインド共にその美しさの極地を披露したのでした。

 

 

 

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(APPLION様のフォトから掲載させて頂きました)