絵付師はデザイナーのデザインを写すわけではありません。
基本、焼き上がるまで画面のデザインは無いと言ってもよいでしょう。
これは型物の量産世界とは違うところです。企画室から始まらないのです。
手作りの物は天気や気候、手掘りの土などロットで質が変わってきます。混入水質が変わっても調子が変わります。
これポイントですがあまり誰も言いません。ここまで素材的なもの。他にもありますが。
轆轤の職人さんのコンディションもフォルムの緊張感に大きく関わってきます。昼食に酒を振舞う習慣も午後の作風に大きな変化と色付けを与えます。
ここまでもプロでも不測の事態や、思っても無い効果、アイデアと熟練による改正変更がどんどん出てきます。
絶妙な偶然の重なる変更を経て出来上がったフォルムを見て
ここで初めて染付は土と釉薬の職人と吹き釉薬職人、窯職人と相談して顔料の調整に入ります。私達は焼き上がりの胎の色合い、質感の深み、光沢、器の与える緊密ボリューム、集散フォルムのベクトル、還元管理など確信を持ってから顔料の発色をイメージしてどの呉須で染めつけるか、その呉須の調子も決めて調整していきます。並行して絵付けを決めていきます。
その際肝心なのは、変形や収縮することを意識して「焼き上がりのフォルム」を逆算して絵付けすることです。
偶然性が多いのですが、その偶然性も経験を重ねて知見を深めることでこちらが変化しながら調整、コントロールしていきます。企画してただ決められた白い器に決められた絵付けをすると、シールを貼ったような仕上がりになります。
轆轤の作ったフォルムのベクトルを殺さぬように絵付けを決めていきます。
まだまだ色々あるのですがそのうち詳しいことは会員ブログにのせます。
上絵の場合は白磁を焼き上げてから決めます。