歯周病臨床の現在位置―国民病とも言える歯周病(高齢者人口増加と歯周病)

現在、我が国における高齢者人口は3,557万人となり、総人口の28.1%となっています(2018年統計:総務省)。

今後もこの数字は増加し続ける見込みである。

また、高齢者における歯周病罹患率はCPIを用いた場合、code-3、code-4を合わせると前期高齢者(65~74歳)では57.5%、後期高齢者(75歳~)では50.6%となっている。

これに加え、1980年以降高齢者の残存歯数は増加しており、高齢者の歯周病患者を治療する機会は今後ますます増加すると予測される。

さらに、循環器疾患や糖尿病を含めた基礎疾患を有する高齢者への歯科治療の機会も増加することが予測される。

近年、糖尿病と歯周病の密接な関係が報告されています。

糖尿病と歯周病はともに代表的な生活習慣病で、糖尿病は喫煙と並んで歯周病の二大危険因子である一方、歯周病は糖尿病合併症のひとつであり、両者は密接な相互関係にある。

臨床においても、慢性炎症としての歯周炎をコントロールすることで、糖尿病のコントロール状態が改善する可能性が示唆されている。

糖尿病患者で歯周疾患を併発している場合、医科歯科連携を図り早期に歯周炎を改善することが重要とされている。

これらのことから、今後ますます高齢者×有病者歯科治療という観点での治療が求められます。