歯を削ったり、入れ歯やかぶせものを作ったり、歯科には手仕事が多い。

繊細な技術が必要とされ、匠の技、職人技の世界です。

日本の歯科技工士さんの技術は世界でも一番ですが、手仕事が優秀すぎて機械化がなかなか受け入れられませんでした

。欧米では1960年代から、歯科の材料をコンピューターで作ろうという研究が始まりました。その核となる技術がコンピューターを使って修復物を設計、加工する「歯科用CAD/CAMキャドキャムシステム」です。

たとえば口腔内スキャナー(口腔内に状態を直接ビデオカメラなどで撮影する装置)で型取りした歯のデータをもとに修復物を設計、加工します。

これだと歯科医師は離れたラボにいる技工士さんとも、同じ3次元の画像を見ながらスムーズにコミュニケーションが取れます。

コンピューターによる加工ですから人による品質のばらつきがありません。

メーカーで均質に生成された材料を切削加工するだけなので、気泡や不純物の混入もなく安全性が保てます。

患者さんにとっても印象材で型取りをする苦痛が軽減され、治療時間も短くなる利点があります。

2014年4月に上下顎小臼歯に、2017年12月に下顎第一大臼歯に、2020年4月に上顎第一大臼歯に、そして同年9月には前歯部にCAD/CAM冠が保険導入され、日本でも急速にデジタルデンティストリーが普及してきました。