『口内炎との違い、予防のコツect.いまこそ知りたい!口腔がん』

 

●口腔がんってどんながん?

「口腔がん」はお口の中にできるがんの総称です。舌、歯ぐき、口腔底、頬の粘膜、口蓋、   顎の骨、唇など、歯以外のどこにでも発生する可能性があります。なかでも多いのは舌に  できるがんで、約6割を占めます。年代、性別としては、60代以上の高齢者や男性に発症   しやすい傾向があるものの、昨今では女性や若者の患者さんも増えてきています。           日本では、口腔がんはずっと前から増加の一途をたどっており、現在の患者数は年1万人 以上と推計されます。

●口内炎とはどう違う?

口内炎がすべて口腔がんになるわけではなく、口内炎がある日突然、口腔がんなる          わけでもありません。口内炎のうち、粘膜の細胞の増殖に異常が起きて、

ごくまれにがんになる潜在能力を有したものが口腔がんになる可能性があるのです。

くわえて、潜在能力をもった口内炎ががんになるには、必ず「前がん病変」(がんではない    状態)を経由します。口内炎が前がん病変を経てがんになるには、5年以上の長い年月が  かかります。前がん病変も必ずがんになるわけではなく、そのまま状態が変わらないことも  あります。とはいえ、繰り返し口内炎になる場所では絶えず細胞の増殖と修復が行われて   いますので、細胞に異常が起きる可能性が高まります。口内炎ができるようなお口の環境  を放置するのは、やはりよくないのです。

●「慢性的な刺激」が原因に

一般的にがんの原因は、食事、生活習慣(お酒とタバコ)、ウイルスだといわれていますが、口腔がんではさらにお口の粘膜への「慢性的な刺激」が原因となります。刺激が繰り返されるうち、ある時粘膜の細胞に異常が起き、口内炎から前がん病変、そして口腔がんになるのです。刺激には、歯が傾いていて舌やお口の粘膜のぶつかる、唇や舌を噛んでしまう、         被せ物や入れ歯が当たるなど物理的なもののほか、食品の添加物や、歯周病による        炎症などの科学的なものがあります。重度のむし歯が絶えず当たる粘膜が床ずれのように   なり、がんになった例もあります。口腔がんの早期発見には、異常を感じていなくても半年に1回は歯科で定期健診を受け、粘膜のチェックもお願いするようにしましょう。発症を防ぐために、慢性的な刺激となるお口の要因を取り除くことも大事です。万一、前がん病変が           見つかった場合は、がん化を確認したらすぐに対応できるように、少なくとも3か月に1回は歯科で経過を見守ってもらうようにしてください。

やまもと歯科クリニックでは、地域の歯科口腔外科、総合病院と連携しています。