「フッ素(F)」は、天然に存在する元素のひとつで、原子番号9、原子量19.0のハロゲン系の元素です。

以前は、フッ化物、フッ素化合物に対しても特に区分けせず、“フッ素”という言葉を使っていました。

現在では、国際純正・応用化学連盟(IUPAC)による「無機化学命名法」(1990年)に基づき、元素名として使用する場合のみ、“フッ素:fluorine”とし、“フッ化物イオン(F−):fluoride ion”が含まれる化合物は“フッ化物:fluoride”と区別するよう定められています。

 水に溶けたときにマイナスイオンになる無機の物質を“~化物:…ride”といいます。

たとえば、う蝕予防に使うフッ化ナトリウム(sodium fluoride,NaF)は、水の中で薄い濃度で溶けている状態ではF−(=フッ化物イオン)のようにマイナスイオンの状態で存在するので、NaFはナトリウムのフッ化物だということがわかります。

 また、患者さんから質問されることがあると思いますが、

フライパンなどに使用される「フッ素樹脂加工(テフロン8加工)」が、

歯科に利用するフッ化物とは別物であるのも化学的性状が非常に安定した有機の“フッ素化合物:fluoro compound”でF−のようなマイナスイオンの状態には変化しないからです。

 本稿では、フッ素元素は“フッ素”、それ以外では原則として“フッ化物”を使っています。

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