(以下、引用)
「…今少し思いつくこと自分の言葉になってしまいますが
書かずにおられず書き付けてみます…
25年近く前、一雄先生の稽古が週3回から2回になりその代わり
週一回慶人氏の稽古場で始まった時の稽古は、
ご自分の大野一雄氏との舞台について
一雄氏の土台になり舞台を支えられていることへの自負からの
今から考えると耐えに耐えることから美が立ち現れるというものでした。
素材が大切、と、からだそのものへの意識、
また肉体と空間との関係、ものの質感、
肉体が触れ感じる全てのものから踊りが生まれること。
からだが触れる地との関係、地球の裏側までも感じて立つ、
一筋の上を歩くなどで伝えてくださいました。
舞台でも実際、地に繊細にギリギリの所に重心を置かれ立ち歩かれ
その歩かれる姿は、慶人先生唯一と言っていいほど
歩く中に凝縮した世界が見えてくるのでした。
日常の中に踊りがあることも本当に大切にされ、
からだそのものをどう意識し意志されるかが、
ただジェスチャーのように動くよりも重要で、
外側では動いていないように見えても、内部や外部へ目覚ましく
肉体への意識が繋がる所に踊りが存在することを伝えてくださった。
一心に向き合うことから踊りが生まれることを体現され
切なるものが滲み出て空間が変容する…
真綿の柔らかでしかし強く繊細で空間に溶けていく稽古も忘れられません。
…慶人先生のことを勝手な言葉で思わずほんの少し書いてしまいました。御容赦。
本当に稀なる純真さをも持ち続けた一心な姿は
ずっと焼きつきこれからも生き続きます。」