【3/15のセッションの報告】
参加メンバー:YK(音)、SK(音)、HA(身体)、AY(身体)
場所:K/N
 
①はじめに各々、周りを意識せず軽く動いたり音を出したり、場に馴染んだりする。
 
②(どのように進めてゆくか話したのち、「芸能」というとっかかりから)、手始めにAYがやっている神楽、HAがやっている巫女舞をそれぞれやってみせる(簡単なリズムと共に)。
 
〈終えての対話〉
・「舞い」と「踊り」の違いは何か?明快には答えづらいが、歴然とした違いは感じられる。このプロジェクトでは、「踊り」よりは「舞い」の方がしっくりくる感がある。
 
・「芸能」とは何か?そこには共同体の身体、リズム、コスモロジーがある?古くからの生活の中にある所作やリズムの様式化?
・「型」があることで身体が規定される面もある一方、逆に各々の個性/差異が際立ってくるという面もある。
とはいえ、かつて芸能が生まれたような土壌からは少なからずズレたところにあるわれわれ現代人。単に憧憬と共にそこに回帰、踏襲しようとするのではないあり方を探りたい。
 
・それぞれのバイオリズムで動いていながらも、何かを共有している必要はあるだろう。(単に場を共有している、というだけでなく)。
・何を共有するか?仮にテーマを設定してみることにする。
例えば「神楽」であれば、どの地域の舞いにも「天地開闢」や「天の岩戸開き」があるが、ここでは特定の「神話」や「物語」に回収されることのないものでありたい。〈*むしろ、それらを解体するようなもの、引き伸ばされた時間の中に立ち現れる「世界像」、「ヴィジョン」が見えてくればいいな、と〉。
天地開闢神話ではないけれど、「花が蕾の状態からゆっくりと開いてゆく」「蝉が殻を割いて羽化してゆく」「真っ暗闇の中から日が昇ってくる」というような生成の時間、旋回と開かれ、その瞬間をググググッと引き伸ばしてゆくようなものが見えてくると面白い。〈*日常の時間と死と生成がゆるやかにつながっているような…〉
 
〈*〉で括っている箇所は、AYの勝手な追記。
 
 
③「舞い」ということを少し(?)意識しつつ、(また、"身体の人"は中腰姿勢への意識をゆるく設定しつつ)、試しに神楽のゆっくり反復し続けるリズムを基にするところからセッションをはじめる。はじめにAYが神楽の所作をモチーフにはじめ、次第に変容する。AYがひと段落して、青柳が動きはじめる。途中からリズムは唐突に動的なものに変化、反復する。2人ともに別の時間と共に動いている。動的な場は、次第に整理されてゆく(?)。(約20分弱)
 
〈終えての対話〉
・「型」的なからだのあり方から始まって、そのあり様はそれぞれ徐々に変化してゆき、各々らしいからだが見えてきた。(精度や、出来のよしあしは別として)。
 
・全員同時にオモテに立つ必要もなく、何かコトを行なう必要もない。消えていたり、フッと遠のいていったり、一瞬交差したり、距離感は(演奏者含めて)たえず変化すればいい。
・全員で同じ目的なり方位に向けて注力しすぎると、どうしても宗教クサい深い空気に接近することがある。(例えば「岩戸開き」で云えば「開いてゆく」ところに大多数が注力しすぎると…)。ある種、ドライであったり、まったく無関係な坦々としたバイオリズムのもの(でありながら薄っすらと何処かつながっているような…)が並列して共存しているような状態、風通しのよさがあるのがいい気がする。
 
・リズムについても、「鎮める」ような深く静謐なリズムであれ、ある程度ドライで抜けのある、クッキリとした切断性のある音の方がいい気もする。ジメッとしすぎない方がいい。
 
・構造〜構成として、「陰/陽」、「静/動」にも近いかもしれないが、神楽でよく見られる構造として「ネリ(ひたすらゆったりとした時間の中で同じ行為を反復して練ってゆく。そこに僅かな差異が生まれてゆく) → クズシ(唐突に反転するようにして、動的な場が生まれる。渦巻くような生成と変容の場)」などは参考になるかもしれない。
(もちろん、必ずしも2つの対極の景だけでつくる必要もない)。
〈*植物でも、冬の間に極力エネルギーを小さく抑えている時期にシステム維持するためのエネルギーの流れと、領土を広げて花を咲かそうとするエネルギーの流れ、花を枯らせて種を実らせるまでのエネルギーの流れは、何かが開かれてゆくような世界像の反転があるように思える…〉
 
・琉球の唄者、嘉手苅林昌による琉球古典舞踊の伴奏におけるタイム感("音楽"だけでは生まれない、舞踊の伴奏だからこそ生まれたであろう長い息〜節の引き延ばし…)、小津映画に聴くことのできる50年代の祭囃子のタイム感。
 
・8〜10月くらいには、ある一定の水準のものとしてカタチにして、どこか持っていきたい。
 
 
…以上、あくまでもAYが覚えている範囲での記録です。補足、修正、違和感、ご意見等ありましたら、お気軽に書いてくださいまし!
 
(手始めに神楽などからヒントをもらうところから手探りで進めていますが、今後、そこも少しずつ変わってくるかもしれません)。