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人が亡くなった後、ご遺体にお化粧を施す「死化粧(エンゼルメイク)」。 「亡くなっているのに、どうしてお化粧をするの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、死化粧は単に見た目を美しく整えるだけのものではありません。
残されたご遺族が前を向いて歩き出すための、大切なグリーフケア(心のケア)の一環でもあるのです。

今回は、亡くなった後にメイクをする理由と、その具体的な手順について分かりやすく解説します。

 

 

亡くなった後にメイク(死化粧)をする3つの理由

人が亡くなると、お身体にはさまざまな変化が起こります。死化粧をするのには、主に以下のような大切な理由があります。

1. 生前の「その人らしさ」を取り戻すため

病気との闘いや、お亡くなりになった後の変化によって、お顔の血色が失われたり、お肌が乾燥したりすることがあります。 生前の元気だった頃の面影に近づけることで、ご遺族が「いつものお父さん(お母さん)だ」と安心できるよう、お顔を整えます。

2. 闘病の痕跡を和らげ、安らかなお顔にするため

闘病生活によってお顔がやつれてしまったり、お薬の影響で変化が生じたりすることがあります。
また、お亡くなりになった直後は、少し苦しそうな表情が残ることもあります。 メイクやマッサージを施すことで、まるで眠っているかのような安らかな表情へと導きます。

3. ご遺族の心の痛みを和らげるため(グリーフケア)

愛する人の変わり果てた姿を見るのは、言葉にできないほど辛いものです。 綺麗に整えられたお顔を見ることで、「安らかに旅立てたんだな」と、ご遺族の心の負担や悲しみが少しずつ和らぎ、前向きなお別れ(心の整理)をしやすくなります。

 

 

死化粧(エンゼルメイク)の具体的な手順

死化粧は、一般的に看護師やエンゼルケアの専門業者、または納棺師によって行われます。
お肌の状態は生前とは異なるため、細心の注意を払いながら以下の手順で進められます。

① お身体とお顔の清拭(せいしき)

まずはアルコールや専用のシートを使い、お顔やお身体を綺麗に拭いて清浄な状態にします。

② 保湿ケア(最重要のプロセス)

亡くなった後のお肌は非常に乾燥しやすく、デリケートです。そのままメイクをするとファンデーションが乗らないため、クリームや乳液、乳液を含ませたコットンなどで入念に保湿を行います。

③ 表情を整える(含み綿など)

病気や歯の状況によって頬や口元がこけてしまっている場合、口の中に「含み綿」を入れて、生前のふっくらとしたお顔のラインを再現します。また、優しくマッサージをして口元や目元を自然に閉じます。

④ ベースメイク(肌色の補正)

お肌のくすみや、血色がない状態(蒼白・黄疸など)をカバーするため、専用のファンデーションやコントロールカラーを使います。生前の肌色に馴染むよう、自然な色合いに仕上げていきます。

⑤ パーツメイク(仕上げ)

  • 眉: 生前の印象を大きく左右するため、ご家族に確認しながら自然な形に描きます。

  • 唇: 乾燥を防ぐリップクリームを塗った後、ほんのりとした赤みを足して血色感を強くします。

  • チーク: 頬に薄くピンクやオレンジを入れることで、一気に健康的な温かみが出ます。

  • 髪型・男性の髭: 髪を綺麗に整え、男性の場合は髭を剃って身だしなみを整えます。

 

 

死化粧は、優しさに満ちた「旅立ちの支度」

亡くなった後のメイクは、単なる化粧ではなく、大切な人が今までの人生を終え、次の場所へと旅立つための「正装」をお手伝いする行為です。

そして何より、残されたご家族が「綺麗なお顔で、ありがとうと言ってお別れができた」と思えるための、大切な時間でもあります。

もし大切な方のお見送りに立ち会う機会があれば、ぜひ「その人らしい姿」で旅立てるよう、希望を伝えてみてくださいね。

 

 

自分に出来ること

ご遺体の肌質の変化について

お亡くなりになった後の肌は、乾燥しやすく、生前よりもファンデーションのノリや発色が異なる場合があります。そのため、状況によってはプロが使用する専用の化粧品(エンバーミング用や死体化粧用)をベースに使い、仕上げのリップやチークに故人様愛用のものを使う、といった方法を提案されることもあります。

また、もし「自分の手で最後にメイクをしてあげたい」というご希望があれば、それも合わせて相談してみてください。スタッフのサポートのもと、ご遺族の手でリップを塗って差し上げるといったお別れの時間を設けてもらえるケースも多いです。

葬儀社のスタッフは、ご遺族の「その人らしく送り出したい」という想いに寄り添って対応してくれますので、遠慮せずにまずはそのままの希望を伝えてみてくださいね。