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日常的にSNSを利用することが当たり前になった現代。

誰もが気軽に日常を世界へ発信できる時代だからこそ、自分たち医療に携わる(あるいは目指す)人間が、絶対に忘れてはならない「一線」があります。

今回は、担当する解剖業務の現場でも、学生たちに必ず伝えている「ある事例」についてお話ししたいと思います。

 

覚えていますか? 2024年末に起きた「グアム解剖実習」での騒動

時が経つのは早いものですが、2024年の11月末から12月にかけて、医療界だけでなく社会全体で大きく問題視されたニュースがありました。

ある美容外科の女性医師が、グアム大学で行われた解剖研修の様子や、ご遺体が写り込んだ記念写真などを「新鮮なご遺体の解剖に行きます」「頭部がたくさんある」といった不適切な文言とともにSNS(Instagramやブログ)に投稿した件です。

 

東京美容外科の麻生氏がSNSで陳謝、献体写真のSNS投稿巡り東京美容外科を運営する医療法人社団東美会(東京都中央区)の理事長、麻生泰氏は12月26日、自身のX(旧・Twitter)をwww.m3.com

 

ネット上での炎上にとどまらず、学会からの厳しい声明発表、そして当該医師の解任処分へと発展し、医療界全体の信頼を揺るがす事態となりました。

 

 

なぜ「ずっと話され続ける注意喚起の話」にするのか

この件について触れると、「いつまで昔の話を持ち上げるのか」「もう終わったことではないか」という賛否両論があるかもしれません。

 

しかし、あえてこの話を、今目の前にいる学生たちに伝え続けています。
なぜなら、これが「一歩間違えれば、誰もが当事者になり得る」現代のリアルな模範例(ケーススタディ)だからです。

当然のことですが、献体実習はご遺族や故人様の崇高なご意思によって成り立つ、極めて貴重で神聖な時間です。
実習室での写真撮影や、それをSNSにアップする行為が「絶対にやってはならない悪いこと」であるのは論を待ちません。

 

「SNSにあげることが当然」という麻痺

しかし今の時代、食事や旅行、仕事の日常をSNSにアップすることがあまりにも日常に溶け込んでいます。

悪気はなくとも、「素晴らしい経験をしたからシェアしたい」「頑張っている自分を発信したい」という承認欲求や無邪気な気持ちが、超えてはならない倫理の壁を麻痺させてしまう

これこそが、現代のSNSが持つ怖さです。

今回の事例は、単に「愚かな一人の医師が問題を起こした」という話ではありません。
「誰もが、日常の延長線上で同じような過ちを犯すリスクを抱えている」という教訓なのです。

 

 

正しく理解し、正しく楽しむために

SNSを楽しむこと自体は決して悪いことではありません。
横のつながりができたり、新しい情報が得られたりと、医療従事者にとっても有益なツールです。

だからこそ、「何のために発信するのか」「これを読んだ遺族や患者様はどう思うか」という、想像力と理解を持った使い方が求められます。

解剖業務に携わる者として、学生さんたちには技術や知識だけでなく、こうした「医療人としての心のあり方」もセットでしっかりと伝えていきたいと思っています。

我々が向き合っているのは、データでも物体でもなく、かつて大切な人生を生きておられた「人間」なのですから。

 

 

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