ヴィンテージ・デローザ 江戸川ライドのレポート、Part 3では、参加された皆さんの愛車のうち、1980年代半ば以降の車をご紹介します。
(年代考証はアンドレア・ボンファンティ氏の名著『CLASSIC DE ROSA』を参考にしています。)
80年代半ばのデローザといえば、いわゆるサモンターナ・モデルの時代になります。サモンターナ・モデルについては、これまでも度々触れてきていますが、当時、プロチームのサモンターナがブルーのデローザを使用していたことから、同じデザインのものが『サモンターナ・モデル』の通称で呼ばれるようになりました。
DE ROSAのロゴにカラフルなウィング柄がついているのが特徴で、ブルー以外にも、さまざまなカラーバリエーションが市販されていて、ここではそれらを総称して『サモンターナ・モデル』と呼ぶことにします。
GKさんはブラウンのサモンターナ・モデルで参加です。
サモンターナ・モデルには85年以前の前期型と、85年以降の後期型があり、トップチューブにDE ROSAの文字が無いのが前期型、有るのが後期型です。これは前期型ですね。
サモンターナ・モデルのヘッドマークは、シンプルなハートにウィングと同じ色のラインが斜めに入っているものです。オシャレでかっこいいですね。フォークは、なで肩のオールメッキです。
なで肩のフォーククラウンには円弧状にDE ROSAのロゴが刻印されています。このタイプは1982〜85年に使われていたものです。
サモンターナ・モデルの登場は、私は1982年頃だと思っていましたが、CLASSIC DE ROSAによれば、1981年となっています。だとすると80年代初頭には、Part 2でご紹介したスーパープレステージ・タイプ*とサモンターナ・モデルが並存していたことになります。(*正式名称ではなく、スーパープレステージのデカールが貼ってあるモデルを仮にそう呼ぶことにします。)
スーパープレステージ・タイプの方は、フォーク肩のDE ROSAの刻印が斜めに入っていたので、同じ時代でも、モデルによって2種類の刻印を使い分けていたようです。
こちらはFSさんのサモンターナ・モデル後期型です。
フレームカラーはミッドナイトブルーという深い紺色で、白い革製バーテープやサドルとのコーディネイトが、上品な雰囲気を醸し出しています。この車はフォークとシートステーのほかにチェンステーもメッキされていて、トップチューブにはウーゴ氏のサインも入っています。同じサモンターナ・モデルでも、こういった細かい仕様のバリエーションがあるようです。
ヘッドマークとなで肩のメッキフォーク、フォーク肩のDE ROSAの刻印は、上のGKさんの車と同じですが、黒いペイントが入っています。
この刻印のフォークが使われたのは1985年までなので、この車は85年製だと推定されます。後期型としては最も早い時期のものですね。Wレバーの台座がエアロタイプになっているのも珍しい仕様です。
こちらはFIさんのサモンターナ・モデル後期型です。
サモンターナチームが乗っていたのと同じ鮮やかなコバルトブルーのフレームに黄色いDE ROSAロゴ、オレンジのウィング柄が入ったデザインで、ヴィンテージ・デローザマニアの間でも人気の高いモデルです。
写真ではよく見えませんが、シートステーキャップのDE ROSAの文字が縦に並んでいることから、サモンターナ・モデルとしては末期の1987年頃の車だと推定されます。
この車もフォークはなで肩のメッキフォークですが、クラウン部の刻印が変わりました。上部にはハートのマークで、サイドにDE ROSAのロゴが入っています。
さて、80年代末になると、サモンターナ・モデルは終了し、シンプルなデザインに回帰していきます。
MYさんのデローザは89年頃のモデルです。カラフルなウイング柄が無くなり、いかり肩の塗装フォークが復活するなど、70年代スタイルへの回帰が見られます。
ヘッドマークもサモンターナ以前のデザインに戻りました。
伝統のいかり肩のフォーククラウンはメッキされていて、DE ROSAのロゴが刻印されています。このあたりも1980年頃のものと同じですね。
続いて、90年代の車です。
90年代に入ると、ネオプリマートやヌーヴォクラシコのように、モデル名称がつくようになります。
これは私のヌーヴォクラシコで、95年製です。
オーバーサイズのチューブやエアロバイクなど、自転車の形態が変化していく中で、一番伝統的なスタイルを継承しているモデルがヌーヴォクラシコでした。
ヘッドマークは80年代のものと同じで、フォーク肩も伝統のいかり肩を継承しています。
フォーククラウンはメッキではなく、塗装になっています。
DE ROSAのロゴのほかにハートマークの刻印も入るようになりました。ハートは赤、DE ROSAの文字は金色にペイントされています。
そして2000年代に入ると、アルミやカーボンのロードバイクが主流になりますが、デローザは伝統的なクロモリの自転車も作り続けてきました。そして、時々クラシックな復刻版を出すなどして、ファンを喜ばせています。
こちらはSTさんのヌーヴォクラシコで、2012〜13年頃の車です。ネイビーのフレームにメッキラグという60年代を彷彿とさせるクラシカルなスタイルになっており、現代パーツを使いながら非常にうまくヴィンテージの雰囲気を出しています。
ヘッドマークは60年代の復刻版です。まだハートのロゴができる以前のものですね。
フォークはいかり肩ですが、メッキされたクラウンの形状は伝統の二本ヒゲではなく一本ヒゲのタイプになっています。上部はハートマークとDE ROSAの刻印で、白くペイントされています。
以上が、今回参加された皆さんの12台のデローザですが、最後にデローザ以外の自転車で参加された方の車もご紹介します。
GYさんは、今回は90年代半ばのカレラで参加です。クラウディオ・キャプッチが乗っていた時代ですね。迷彩柄のコルク製バーテープが時代を感じさせます。
カレラのヘッドマークは初めて意識して見ましたが、クラシカルでかっこいいですね。
U字型のフォーク。エアロ性能を意識して、90年代からこのタイプが増えていきました。
STさんの奥様のホルクス。昨年作った車ですが、ベージュのフレームとカンパ・アテナのシルバーのパーツがお洒落なヴィンテージ感を出しています。
ブラウンの革のバーテープに小ぶりの革製フロントバッグ。車の雰囲気に似合った抜群のコーディネイトです。
今回のデローザライドも、皆さんの愛車をたくさん見て、楽しませていただきました。次回もよろしくお願いします。
ヴィンテージ・デローザを愛する方、知りたい方、語りたい方、お気軽にクラブ・デローザ・クラシケにどうぞ。






















