今週末に開催中の2024 ハンドメイドバイシクル展に行って来ました。このイベントは、国内外のフレームビルダーやパーツメーカーが参加して、ハンドメイドならではの独創的なアイデアや匠の技を競うイベントです。
すべての展示をご紹介することができないのが残念ですが、Part 1では自転車を中心に、Part 2ではパーツその他を中心に、私が気になったブースをご紹介していくことにします。
私が行った初日の土曜日は、お昼頃から雨が降り出す、あいにくの天気でした。いつもなら、会場の科学技術館まで自転車で行くのですが、今回は地下鉄で行くことにしました。
建物に入ると、すぐ左手にハンドメイドバイシクル展のエントランスがあります。
会場に入ると、初日の午前中だというのに、もう多くの自転車マニアが集まっていて、熱心に自転車を見たり、説明員と話し込んだりしていました。
今回は入口を入ってすぐの場所がケルビムのブースです。
ユニークなデザインや美しい工作で、いつも我々の目を楽しませてくれるケルビムですが、今回はオーソドックスなスタイルの、美しい現代レーサーを3台出品していました。
これはチタン製のロードで、接合部の仕上げなどが非常に美しく、カラーリングのセンスも抜群です。ちなみにお値段は321万円だそうです。
これは、今流行りのグラベルロードです。小さなチェンホイールと大きなフリーホイールの組み合わせがグラベルロードらしいところです。
そして王道のクロモリ製レーサーです。ラグワークが美しいですね。
細かいところの細工もケルビムならではの美しさです。シルバーとレッドのツートーンカラーがすごくかっこいいですね。
チタンレーサーのイメージが強いエクイリブリウムは、今回、街乗りのミキストを出品していました。
トーエイは、今回も王道のスポルティーフとランドナーを展示していました。まさに『ザ・トーエイ』の世界です。
シャンパンゴールドのスポルティーフは、ヴィンテージパーツで組み上げられていて、TAのリングにストロングライト49D、ユーレーサクセスというアッセンブルです。
赤いランドナーの方は、現代パーツで組まれていて、シマノのティアグラのコンポが使われています。ブレーキなども現代のものですが、ランドナーのトラディショナルな雰囲気とうまくマッチしていますね。
トーエイと並ぶランドナーの雄、グランボアのブースにも、美しいカスタムランドナーが展示されていました。
こちらは、ヴィンテージパーツで構成されたランドナーです。ルネルスタイプのチェンリングやステム、シクロランドナータイプのディレイラーが使われています。使い込まれたイデアル90のサドルがいい味を出していますね。
こちらは、前後の泥除けをアーレンキー1本で簡単に外せるようにしたことで、輪行しやすくしたランドナーです。自転車をひっくり返さずに泥除けを外せるので、ロードバイクと同じ感覚で輪行できるそうです。
そして、こちらはカーボン製のコンパクトクランクを使った現代ランドナーです。現代パーツの良さをうまく取り入れながら、落ち着いたランドナーにまとめています。
グランボアのブースに展示してあったルネルスのトゥークロメ(オールメッキ)のランドナー。日本のハンドメイドサイクルの原点となったお手本ですね。
イエローのレーサーのイメージが強いラバネロは、そのイメージを打ち破る(?)グリーンのミキスト車を展示していました。
このミキストに使われているスェード地のバーテープが、すごくソフトなイメージを与えていて、印象的です。
日直商会のブースで、デローザのレーサーが展示されていました。デローザは3Dプリンターを使ってチタン製パーツを成形する技術を強くアピールしていて、今回はチタン製バイク中心の展示になっています。
壁面には巨匠ウーゴ・デローザの肖像写真が。
考えてみると、去年のハンドメイドバイシクル展の時には、まだウーゴ氏はご存命だったんですよね。改めて同氏の死を悼みます。
ウーゴ氏の後継者と言われるアレッシオ・ガランティ氏の手によるチタン製レーサーが3台展示されていました。
このエンド部分が3Dプリンターで成形されたチタン製パーツです。
セッタンタ(70周年記念モデル)は展示されていませんでしたが、ヘッドマークのハートには70の文字が入っていました。
クロモリ製レーサーの展示はありませんが、塗装サンプルでその存在感を示しているのが、デローザらしいところです。
さて、ここからは、今回のショーで見られた、いくつかのトレンドについて、簡単にご紹介します。
昨年も触れましたが、木製の自転車が増えている気がします。
木という素材はエコであると同時に、自転車の素材としては新鮮で、ビルダーによって、さまざまなデザインやアイデアが提示されていて、この分野の可能性を感じさせます。
規制緩和の影響でしょうか、タンデムもなかなか意欲的な製品が展示されていました。
折り畳み式の自転車も近年のトレンドで、どこまでコンパクトに、楽に持ち歩けるか、さまざまなアイデアを競っています。
今回、私が一番印象的だったのは、この自転車。
以前ご紹介した鶴見の自転車工房べルクレッタが発表した、電動アシスト付きのトーエイランドナーです。
電動アシストの潮流も、ついにここまで来たかという感じですね。ボトルケージにバッテリーがうまく収まっていて、チェンホイール部以外は、普通のランドナーです。今後、このジャンルがどうなっていくのか、興味のあるところです。
電動アシストとしては、このように高齢者などにやさしい自転車の展示もありました。たしかにこういうニーズもありますよね。
電動アシストが、ママチャリやクロスバイクだけでなく、さまざまなタイプの自転車に広がっていくことが期待されます。
最後に、私が毎年楽しみにしている東京サイクルデザイン専門学校の生徒さんによる作品をご紹介します。
今年はなんと、ミニサイズのクラシック自転車が展示されていました。『子供が簡単に乗れる自転車』という課題だったそうですが、19世紀まで原点回帰とは! 一本取られた感じです。(笑)
さて、Part 2では、パーツ関連やその他の展示をご紹介します。