2度めの脳梗塞から

3ヶ月半が経ちました。




最初は


もうご飯も食べられないだろうってくらい

危なかったんですがね。





どうやら幾つか詰まった血管が

通ったようで


気分が良ければ

お茶碗を持ってご飯が食べられたり


笑ったり怒ったりは

できるようになりました。






リハビリ病院を退院する頃には


「あんたわかるのぉ?来てくれたのぉ?」

なんて突然言い出したり

(その後、会話は続かないんですが)


いきなり空中を見て

笑い出したり


怖さもありますが

かなり回復したようにも思います。


  




とはいえ。



意思疎通は難しいままだし

ご飯は気分が乗らなきゃ自分で食べないし


起こすのも着替えもトイレも

ぜーーーんぶ介助が必要。





ベッドから車椅子に移す時は


プロでも2人以上じゃないと

危険なほど。






とても家に帰って来れる

レベルではありません。








そんな婆さんですが…


実は先日

退院しました。








そして…





施設へ引っ越しました。








退院の日


夫と2人で迎えに行ったら

ご機嫌だった婆さん。





夫が看護師さんと話してる間


婆さんはテーブルのカバーを

剥がそうとするので


もう要らない封筒を持たせたら

婆さんは興味を持ったらしく

弄り回していました。







しばらくして。




その封筒を口に持っていって


ごくっごくっごくっ…って

なんか飲みだしたびっくり





思わずビデオ撮りましたニヒヒ






その後も飲む仕草をするので


「喉乾いたの?お茶飲む?」って聞くと

「うんうん…」て…ポーンハッ





多分、入院してから



初めて

意思疎通ができました!






ほんとこれにはビックリ!!





早速、看護師さんにお願いして

お茶を出してもらうと


ゴクゴクって飲んでいましたよニヤニヤ







そうこうしているうちに


介護タクシーの運転手さんが

迎えに来られました。




退院することを理解できてない婆さん。




看護師さんと離れる時

切ない顔に…。




やっと慣れたのに

不安になったんでしょうね。





でもそれはほんの一瞬で

すぐに無表情に真顔





介護タクシーに乗せてもらって

私も乗り込んで車が走り出すと


久しぶりに見る外の世界を

必死で見ているようでした。





…施設へ向かう途中


自宅の近くを通ったんです。





家に近づくにつれ

目がまんまるになる婆さん。




目からの情報は正しく伝わらない筈なのに

わかるんですかね。







でも。



途中で違う方向へ曲がる介護タクシー。







一瞬…



婆さんの表情が

変わりました。




まるで「え?」って

言っているような表情。






当たり前に

家に帰ると思ったのかもしれません。





その瞬間



胸が抉られるような気持ちになり

涙が込み上げました。







大嫌いな人だけど。




やられた事は

許せないし忘れられないけど。







家に強く執着していた人なのに

こんな結果になるのは


当然と思う気持ちがありつつも

哀れでね…





この言葉だけは言うまいって

思ってたんですけど



思わず言ってしまいました。





「ごめんね。」って。





私が悪いわけではないので

それだけは言うまいって思ったのに


出ちゃいました。







でも婆さん

またすぐに無表情真顔




どこまで理解できているかは

やっぱり不明です驚き










これから婆さんがお世話になる施設は

婆さんの実家のすぐ近く。



幼少の頃に通った小学校の

すぐ裏なんです。






夫は婆さんが

生まれ育った土地に来られたことを


喜んでいました。





私はずっと複雑な気持ちのままでしたが


施設に到着すると

事務的な作業が待っていて


少しの家具を運ぶ合間に

スタッフさんは上の階(生活スペース)へ

連れて行きたいようでした。





「あの…もう少し待てますか?

 夫の母なので

 せめて夫が来るまで…」





夫は介護タクシーの支払いをしたり

荷物を降ろしたりして

その場にいなかったので


少し待ってもらって

最後のお別れをしました。





「じゃあね。皆さんによくしてもらってね。」


そう声がけすると


私の目を見て

婆さんは笑い出しました。





(ああ…理解してないんだな。)





そう思ったのですが。








次の瞬間。






すがるような

今にも泣き出しそうな


何とも言えない切ない顔になって。





私に何か訴えかけた婆さん。





言葉は何も出なかったけど


「ええっ!

 私、どこに連れていかれるの!?

 一緒に家に帰れないの!?」




そう言っているように見えました。







私…また涙が込み上げてきて。



「ごめんね、ごめんね。」


無意識に何度も何度も…。







すぐに施設の方から


「すみません、ご家族の方はこちらで

 契約の方を…」



そう声をかけられて

気持ちを切り替えましたが


何とも言えない

切ない思いで見送りました。



 



…なんでしょうかねぇ。




実家を継ぐ姪にも


「アンタが胸を痛めることじゃない。

 あれが叔母さん(婆さん)の生き様。

 生き様が死に様だから。」


なんてスパッと切られた人だし


私自身も

仕方がないと割り切っていたのに。



 


やっぱり家族なのかなぁ。



嫌いなのになぁ。






淡々と物事を進める夫が

薄情に思えたので


「ねぇ、あの顔見たでしょ?

 切なくない?」


って聞いてみました。






夫。


「え?別に。

 だってさ

 どうしたって家で看れないんだから

 仕方ないじゃん。」





いやいや…そりゃそうだけどさ。





「あの人はね

 どこにいたって不満だらけなの。

 感謝できないから仕方ないんだよ。

 自業自得。」





すんごいスパッ

割り切るのね…滝汗






でもきっとね


それが救いなんだと思います。






もし私と夫の態度が逆だったら


きっと私

イライラしたでしょうから。





夫の言う通り


いつも不満ばかりで

感謝のない人だから


一生不満を抱えて苦しむんでしょうね。





家族の目が届かない場所で

いつも態度が悪ければ


スタッフの皆さんに

優しくしてもらえないでしょう。





どう見ても


可愛いお婆ちゃんではないからな…





あちこちでトラブルを起こし


爺さんを邪険に扱い

嫁に意地悪をした報いが


今ここできているのかも

しれませんゲッソリガーン