母→父→私と回ってきた文庫本。
『お探し物は図書室まで』
青山美智子
2021年の本屋大賞にもエントリーされていたので、読まれた方も多いと思います。
家族で同じ本を読んで感想を言い合えるのは楽しいひと時。
『何をお探し?』と図書室の奥にデン!っと座るふくよかな司書さん。
お団子頭に白い花のかんざし。
その風貌からはちょっと想像つかない可愛らしい名前の小町さゆりさん。
小学校に隣接する小さな図書室。
そこに導かれるように入っていく人たちは、その女性に魔法をかけられる。
ふとしたきっかけでその図書室に行った者は、二言三言小町さんと会話する。
すると、凄まじい勢いでパソコンのキーボードを叩き、お勧めの本をプリントアウトしてくれる。プラス、なぜか全く関係ない本の題名がしるされている。
『なんだ?』
『ああ、それと』と言って、クッキーの缶からおもむろに、小さな羊毛フェルトを差し出す。
『はい、どうぞ!本の付録だよ。』
どうも最後に紹介した本に関する物のようだ。
この本の表紙にある小さな付録。
本は知らない世界に誘ってくれる不思議な媒体だと私は思っている。
人生が変わるというと大袈裟かもしれないけれど、この図書室に足を運んだ者は紹介された本や小町さんとの会話で探している物に気づき、気持ちに変化が現れる。
年齢も性別も違う5人の図書室の訪問者。
短編集だが、続きもののようなファンタジー。
あなたも探し物を求めに図書室へ!