何か月か前にあった出来事。
地下鉄の駅のホームで
ベンチに腰掛け電車を待っていました。
背中越しに到着した電車
ドアを閉める合図をする車掌さん、
発車の合図が出ない、
妙な間に
何か少し騒がしい。
後ろを振り返ると、
合図を送って電車を出発させる駅員さんが
人混みの中で何か喋ってる。
「・・・ですか!?」
ん、大丈夫?て聞こえたような??
人の流れのあと
背の高い女性が電車から降りてくる、、、
足元がおぼつかない。
3歩程歩き
後ろにバターンと倒れた!
こりゃまずいと
駆け寄って瞬時に状況確認。
CPRを行うに相応しい場所?
電車からも充分距離がある、
床も濡れてない、
大丈夫!
肩に手をかけ
耳元で呼び掛ける。
駅員さんに任され、
駅員さんが応援を呼びに行く。
外傷は?
倒れた時に頭を打っていないか?
ああ!良かった!
大きめでしっかりした
スポーツタイプのリュックを背負ってた!
頭の外傷は無いよう。
呼び掛けには応じ
意識はあるが、遠い。
黒目が揺れてる、
ぐるぐるしてる!
倒れたまんまの状態で
手足をぴーんと突っ張ってる。
癲癇か。
「ゆっくり息してみよーかー?」
てんかんだったら私の手に負えない!
周りを見渡し手伝ってくれそうな人を
探しながら自分のバッグの中に手をやり
ゴソゴソ。
てんかんだったら
口に何か噛ませなきゃ、
口に挟めるもの、
固くて程よい長さ大きさの、、、
この数秒の間に
だんだん意識がはっきりしてきた女性。
揺れる瞳で私を見ようとしてる。
手を握り、
「私はまちだと言いますー。
お名前言えますかー。」
ひとり
若い男性が声を掛けてくれた。
『大丈夫ですか?
何か手伝えることありますか?
あ、水持って来ます!』
さわやかに男性が走る。
まだ止まったままの電車の乗客の視線から
彼女を守ろうと
私の上着でカーテンを作った。
通行人はよけてくし、
電車の乗客はみんな見るだけ、
遠巻きに。
顔色が蒼白。
もしやと思ったら
やはり女性ならではの理由。
すかさず
私のでっかくて荷物ぱんぱんのバッグを
足元にセットし両脚を乗せてやり
高く保つ。
「痛いところないー?」
私の問いかけに
ゆっくり
言葉を思い出すように発する。
みるみる瞳に涙が溢れてくる。
「大丈夫、大丈夫ー、」
「よくあることだよー」
「今日はひとりなのー?」
「どこまでいくのー」
ナンパしてるよう(笑)
話してるうちに
握っていた彼女の手が温かくなる。
ああ、良かった。
先ほどのさわやか青年が
水を自販機で買って来て、
『これ、どうぞ』と差し出し
『僕、こういうの(救助)わからなくて。』
強くきれいな目をして言う。
駅員さんが車椅子を持ってやって来た。
応援の駅員さんが電車を出発させた。
10~15分遅れた電車の中で
乗客はさんざん見た光景を
アナウンスで聞いてるだろう。
車椅子に彼女を座らせ
駅員さんに託す。
ご厚意だから頂きましょう、と
彼女に水を手渡し
見送った。
さわやか青年に
お礼を言って彼の背中を見送り、
やって来た快速電車に飛び乗り
次の仕事に向かいました。
あの時の君へ
ありがとうございます。
たくさんの乗客が降りましたが
足を止め声をかけてくれたのは
あなただけです。
わからないながらも
一緒に駅のホームに
膝をつき
座り、
私の一部始終を
見届けてくれました。
どうか
その勇気を、
優しさを忘れないで下さい。
あなたの力を
必要としている人がいます。
きっといます。
自分から
傷病者、要救護者に
水を、と
考えて行動しました。
それで良いのです。
でも、あの日私が行ったことは
あなたにも出来ます。
もっと力になれたかも、と
思い返すことがあれば
遅くはありません。
メディックファーストエイドの
講習を受けて下さい。
もちろん他の団体でも
CPRは学べます。
しかし、
初めての方にはMFDを
お勧めします。
講習の教本の最後のページに
あなたが今後必要とする言葉が
書かれてあります。
残念ながら日本の消防署では
教えてくれません。
その考えすらありません。
将来、
もしそんな現場に立ち会ったら
今の自分ができる
ベストを尽くして下さい。
そして、
その言葉を思い出してください。
その行動は自分をも救います。
あの日会った君へ。
( ´ ▽ ` )ノ Mahalo