「何でだよ!!」
「ジェジュン」
「何で…何で…!!」
俺の腕の中でジェジュンが泣き叫ぶ。
「もうどうしようもないんだ」
「まだ…まだ大丈夫だよ!!」
「もう…」
「お願い、行かないで…」
「ジェジュン…」
「俺はどうなってもいいから。どうなっても構わないから…
お前がそばにいてくれれば…」
抱き支えていた腕を解くと
ジェジュンは力なくずり落ちていった。
「俺たちは一緒にいられないんだ」
「んくっ…」
「お前の歌声を守りたい。だけど、一緒にいれば
それすらお前は失ってしまう気がするんだ…
国内でも海外でも表立った活動は出来なくなるかもしれないけど
離れれば、歌うことだけは守れる。
お前は、お前たちのことだけを考えてくれ」
一瞬の間を置いて、
ジェジュンの叫び声が部屋中に響いた。
今は、
離れなければいけない。
一緒にいれば
マスコミに追われ、騒動が長引き、
すべてを失うと思った。
それならば、微量でも
かろうじて守れるものは守りたい。
酷なことだ。
東方神起を守るということは
お前たちを突き放すことになる。
それでも、
こうなってしまったからには
様々なことから顔を背けてでも
歯を食いしばって堪えることしかできないんだよ。
「ユノ…俺を捨てるの…?俺のこともう愛してないの…?」
足元でジェジュンが嗚咽しながら床を濡らしていく。
「愛してるよ…この先、お前以上に愛せる奴はいない」
「…あぁぁぁあ…!!」
「だからジェジュン…俺たちは一度別れよう」
本当にこれが正解なのか?と頭の中で自分が囁く。
分からないよ、俺だって。
だけど、何もかも失えるほど、俺も強くない。
狡いな、俺は…
「俺たち今まで何回別れた?
些細なことで簡単に別れて、それでも寄りを戻してきたじゃないか」
「嫌だ…」
「俺たちは…また一緒にいられるようになる」
「分からない、じゃないか…だって…」
「お前は信じないのか」
「……」
「俺を信じないのか」
ジェジュンが泣き疲れてぐしゃぐしゃになった顔で
俺を見上げて、
そんな顔を見て、欲情する俺もイカレてるのかもしれない。
「俺を信じろ」
その言葉に根拠がなくても
それでもだ、ジェジュン。
「ユノ……俺は……」
手を伸ばしそうになるのを堪え、奴の言葉を待つ。
「…お前しか愛せない。お前がどこにいても…」
「ジェジュン」
もうヘトヘトだろう。
この部屋にようやく沈黙が生まれた。
しゃがみ込み、頬を包むと
ジェジュンは無理矢理笑ってみせ、
「お前を…信じる…」
そう言った。
嫉妬深くて、構ってほしがりで、寂しがり屋。
だけど、最終的に
ジェジュンを我慢させているのは俺の方かもしれない。
「おいで」
そう一言呟くと、力なくジェジュンが俺に体を預ける。
「いつかお前を、お前たちを迎えに行く。
それまで全力で頑張れ。
俺たちも頑張るから、弟たちと歌い続けてくれ。
俺たち5人なら大丈夫だ。
これまでだって乗り越えてきたんだ。
時間がかかっても、ちゃんと切り開いていける」
自分に、ジェジュンに言い聞かせるように
一言一言を大切に置いていく。
「愛に敵うものはない」
これ以上の愛は、他にない。
ずっと一緒にいるから
勘違いしてるだけだ、と周りから言われ続けたけれど
こうやってジェジュンの想いは途切れることがなかったように
たとえ、これまでのことが夢だったとしても
覚めたところで、何ら変わらない想いだと信じてる。
簡単に一緒に居たわけじゃないんだ。
「ジェジュン」
「ん」
「さよならだ」
「ん…」
「お前は俺の前では泣いてばかりだったかもな」
「……」
「ごめんな」
「…いいんだ、お前の前なら」
「そっか」
この疲れが、俺たちの次なる一歩へと向かうための
休息だと思えば良い。
次、がいつ来るかは見えもしないけれど
それでも
負けるわけにはいかないから。
「ユノ…別れの前に俺を抱いて」
途切れそうなほど小さな声に
俺はその時初めて涙が零れた。
「お前が飽きるまで抱いてやる」
抱きしめていた腕に力を込めて、
細い腰を抱きかかえ、
ベッドへと押し倒す。
「ユノ…バイバイ」
言葉とは裏腹に俺へと手を伸ばすジェジュンが
どこまでも愛おしく、
「またな」
そう言って、抱きしめた。
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分裂時の2人の話。
一度離れることで
お互いを守ろうとした2人です。