初子さんの紅しょうが
羅臼の昆布
鰹節はご主人が
嫌いで
昆布だしで
今もお吸い物
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200825/23/chuupparuun/47/62/j/o1080072014809756282.jpg?caw=800)
しょうがは
おうちで漬けはる
塩味のきいた
紅しょうが
一緒に
晩ごはんしましょうって
そやけど
私が
用事出来てしまって
ごめんなさい
ほんまに
一瞬
立ち寄って
手を洗って
ご仏壇のご主人さんに
手をあわせて
高槻から
持ってきたもの
お供えさせてもらった
ほんと
少しお話して
お寿司と紅しょうが
持たせてもらって
帰った
初子さんは
88歳の白髪頭の
おばあちゃま
母さんの
広島の親友で
一緒にピカも
黒い雲も
運び込まれた
被爆者さんも
みた人
一緒に終戦迎えて
母さんが
辛抱強いくせに
会いたい
来て欲しい
助けて
いつも
自分の親でも
私でもなく
頼った親友
癌になって
いよいよも
やっぱり会いたい
いよいよ
さよならも
1番の親戚より
呼んで欲しい
母さんは
初子さんの紅しょうが
食べたことないでしょ
初子さんの紅しょうが
お弁当箱につめた
おにぎりにした
また
電話するのよ
また
来なさいよ
初子さん
お母さんの代わり
してくれてる
初子さん
塩味が強いの
母さんは
甘味が強い
初子さんのお出汁は
昆布だけで薄味
母さんは
鰹もきいてる
渡されたから
帰りに
心斎橋カステラ銀装
伽羅橋で
カステラ
買った
あなたに供えて
ユキさんと
コーヒー入れて
頬張った
紅しょうがは
妹に分けた
彼女も
お弁当に
いれてゆくって
東羽衣から
伽羅橋まで
歩いてゆく
途中にある
大島羽衣濱神社
参拝した
二礼二拍手一礼
初子さんをよろしく
お願いします
コロナウィルス
仕事も
学校も
部活も
大人も
子供も
みな大変
でもね
ほんとの友情
ほんとの愛情は
大変なときに
育まれる
だから
大丈夫
初子さんと
私の母さんは
ピカが
つないだ友情
悲しくも
切れない絆
わたしは
母さんに
どうしても
伝えたかったこと
初子さんに
聞いて欲しくて
たずねた
コロナ禍で
顰蹙なのに
ほんの少し
お家にあがらせてもらった
喜んでくれて
そして
ほんとの覚悟
そして
母さんの代わりに
ちゃんと
答えを言ってくれた
誰もおこらない
もう充分だからね
初子さんのお子さんに
許してもらえるなら
さよならの日まで
電話させてほしい
私のからだは
初子さんのからだは
私であって
初子さんであって
いつも
私の母さんが
その時ばかりと
お邪魔する
二人の友情は
甘酸っぱいのかな
しおっ辛いのかな
そして
鰹だしでなく
昆布だしなんだろうな
いい報告したいから
明日も
顔晴っちゃお