初子さんの紅しょうが | 嶋田アキ&妙浩のopenthetomorrow

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活かされている
それだけで
しあわせだなぁ
fight run
nice run
enjoy run

初子さんの紅しょうが

羅臼の昆布
鰹節はご主人が
嫌いで
昆布だしで
今もお吸い物

しょうがは
おうちで漬けはる
塩味のきいた
紅しょうが

ほんまは
一緒に
晩ごはんしましょうって
そやけど
私が
用事出来てしまって
ごめんなさい

ほんまに
一瞬
立ち寄って
手を洗って
ご仏壇のご主人さんに
手をあわせて
高槻から
持ってきたもの
お供えさせてもらった
ほんと
少しお話して
お寿司と紅しょうが
持たせてもらって
帰った

初子さんは
88歳の白髪頭の
おばあちゃま

母さんの
広島の親友で
一緒にピカも
黒い雲も
運び込まれた
被爆者さんも
みた人
一緒に終戦迎えて

母さんが
辛抱強いくせに
会いたい
来て欲しい
助けて
いつも
自分の親でも
私でもなく
頼った親友

癌になって
いよいよも
やっぱり会いたい
いよいよ
さよならも
1番の親戚より
呼んで欲しい

母さんは
初子さんの紅しょうが
食べたことないでしょ

あなたを
みおくってもらって
向こうのお父さん
失くなって
わたし
行ったよ

あなたの代わりの
つもりだった

それがね
初子さん
あなたの代わりに
私の背中を
さすってくれ
頑張るのよって
泣いてくれる

頑張るのよって
くしゃくしゃの笑顔で
笑ってくれるの


初子さんの紅しょうが
お弁当箱につめた
おにぎりにした

また
電話するのよ

また
来なさいよ

初子さん
お母さんの代わり
してくれてる

初子さん
塩味が強いの

母さんは
甘味が強い

初子さんのお出汁は
昆布だけで薄味

母さんは
鰹もきいてる

お供してと
渡されたから
帰りに
心斎橋カステラ銀装
伽羅橋で
カステラ
買った

あなたに供えて
ユキさんと
コーヒー入れて
頬張った

紅しょうがは
妹に分けた
彼女も
お弁当に
いれてゆくって

東羽衣から
伽羅橋まで
歩いてゆく
途中にある
大島羽衣濱神社
参拝した

二礼二拍手一礼

初子さんをよろしく
お願いします

コロナウィルス
仕事も
学校も
部活も
大人も
子供も
みな大変
でもね

ほんとの友情
ほんとの愛情は
大変なときに
育まれる

だから
大丈夫

初子さんと
私の母さんは
ピカが
つないだ友情
悲しくも
切れない絆

わたしは
母さんに
どうしても
伝えたかったこと
初子さんに
聞いて欲しくて
たずねた

コロナ禍で
顰蹙なのに
ほんの少し
お家にあがらせてもらった

喜んでくれて
そして
ほんとの覚悟
そして
母さんの代わりに
ちゃんと
答えを言ってくれた

誰もおこらない
もう充分だからね

初子さんのお子さんに
許してもらえるなら
さよならの日まで
電話させてほしい

私のからだは
初子さんのからだは
私であって
初子さんであって
いつも
私の母さんが
その時ばかりと
お邪魔する

二人の友情は
甘酸っぱいのかな
しおっ辛いのかな
そして
鰹だしでなく
昆布だしなんだろうな

いい報告したいから
明日も
顔晴っちゃお