油を敷いて
鮭を焼く
それは
とても
しあわせなこと
生きてゆくのに
してもらうことより
できることを教えてもらう
母さんは
私より小さい子が
多いから
そして
夜の勤務が
少しでも
足しになるからと
選んでいた
鶏肉を
家族の数に
切り分けて
夕方で
安くなったもやしで
炒める
帰ってきた
母さんの分は
油がまわって
美味しいわけないのに
喜んでくれた
ちゃんと
夕食が用意されてない
もしも
千円が手にはいったら
米を買おう
安くていい
精米日の新しいのを
見つけちゃお✨
それが
美味しい
米を研ぐ
お母さんがいないから
お姉ちゃんが
ご飯を炊いてくれる
冬は冷たいから
泡立て器で
研ぐんだと
クラスメイトは
教えてくれた
わたしは
これから
どうしたい
娘と珈琲を飲んだ
むかし
月はじめは
母さんと
夜
白い砂糖を
いっぱい
入れて
紅茶を飲んだ
レセプト業務の
住所と
健康保険の番号
名前を
ボールペンで
書くのが
わたしの役目
母さんは
点数を計算してゆく
最後に
一緒に
そろばん
あったら
やったー
一休みや
お疲れさんの
甘い紅茶
昨日
娘は
わたしの入れた
珈琲を
美味しいと
飲んでくれた
そして
焼いた鮭
ひと切れは
彼女の
働くことが
生きること
育てること
食べさせること
自分で生きること
自分で食べること
自分で働くこと
すべてが
しあわせなこと
これから
どうしてゆく
あなたも
わたしも
生きてゆこう