もう一本、今度は空手なんですが…空手の達人美少女が転校した先はやはり暴力が支配する地獄だ、虐められるイケメン、虐める側から抜け出したいイケメン、二人のイケメンと出会って…「空手道」

 

1人の女子高生が学校を去ろうとしている。彼女には紙礫や紙飛行機が投げつけられる。校庭に出ると腕にギブスをした不良が絡んで来る。チェヨンに痛めつけられた奴だが、それが原因で彼女は退学になったのだ。彼女はヤン・チェヨン、父親の道場”チョンド館”で腕を磨いた空手道の達人だ…新しい転入先”トス高等学校”に父親と挨拶に行くが、その帰り道、一人の気弱そうな男子高生が男2人女2人の不良たちにボコボコにされる場面に遭遇してしまう。どうやら学校内での中間試験の不正を暴こうとしたらしい。チェヨンは彼らの暴行をスマホで撮るが、気づいた不良たちはスマホを渡せと凄んで来る。チェヨンはあっという間に4人を打ちのめす…翌日、昨日の気弱そうな男子学生チョン・ジョングのクラスに一人の女子高生が転入してくる。何と、昨日の空手少女だ。ジョングの母は細々と食堂を営んでいるが、今夜も酔客が暴れ、彼女やジョングになす術はない。ジョングはチェヨンに近づき、何とか彼女のように強くなりたい、と懇願するが、チェヨンの反応は冷たい。こうして生徒会長が暴力で支配する新しい学校での生活が始まったのだ…

 

空手道達人少女ヤン・チェヨンに、「The Witch」「もしかしたら私たちは別れたかもしれない」など目茶目茶キュートなチョン・ダウン、虐めに苦しむ気弱な男子高生チョン・ジョングに、「毒戦2」でイ・ジュニョルを引きついだ二枚目オ・スンファン、学校を仕切る生徒会長のNo.2ながら引け際を探すチュ・ヘソンに、端役では見たはずの二枚目ソン・ウヒョン、空手道場”チョンド館”館長でチェヨンの父親に、警官やヤクザはお手の物チョン・ウィウク、学校を牛耳る生徒会長パク・チニョクに、初めて見るキム・テユン。特別出演では、道場に飾られる空手達人の写真に、ヤン・ドングン(後述)。

 

連続で格闘技達人美女を観るのは結構疲れる上、クオリティもかなり落ちるので更に疲れ倍増という感じです。ただ面白いことに、”olleh TV”というネット配信(IPTV)専用コンテンツとして作られながら、(多分一部と想像しますが)熱狂的な支持を受け劇場公開に至った、という珍しい経緯を辿っています。ファイトシーンなんかはかなりチープなんですが、達人女、弱虫男、人生岐路男、という1美女2二枚目という組み合わせが、ちょっと三角関係の香りも漂わせて、響く観客もいるのは否定できないかもしれません。

 

個人的にはちょっと冷たいチョン・ダウンの魅力が輝いていて、お得感はありますが、少なくとも広くお薦めする類の作品とは思えないのが正直な所です。不思議なことに、YouTubeを原題で検索すると全編無料で観ることが出来たりしますが、字幕が一切付いていないので、雰囲気を感じる程度でしかないんだろうと思います。

 

劇中の重要な台詞に、「力なき正義は無力であり、正義なき力はただの暴力でしかない」というのが大山倍達(韓国名:チェ・ペダル)の言葉として紹介されます。それで、ヤン・ドングンが大山倍達を演じた「風のファイター」での写真が道場に飾られているわけですが、調べると原典には様々な説があるようで、日本の少林寺拳法の始祖宗道臣の言葉とするものや、果ては、パスカルやアリストテレスの名前まで現れたりします。確たる原典をご存じなら教えていただけると幸いです。しかしこの言葉、今の世情を考えると、”力なき正義”と”正義なき力”と各々どういう距離感であるべきなのか、凄まじいジレンマを感じさせる言葉だと思ったりします。

 

楽曲について。劇中三人が休日を楽しむシーンと、エンディングで使われるのは、リウォン(리원)2016年「宇宙(우주)」。ベラボーにキュートな曲に仕上がっています。