大人気ソ・ジソブと<Afterschool>ナナが出てると聞いて…雪に囲まれた山荘を舞台に、弁護士と殺人容疑者が二人きりで難解な事件の真相に迫っていく、という斬新な構成で魅せるサスペンスの秀作…「告白、あるいは完璧な弁護 (原題:自白)」

 

ニュースは、不倫相手キム・セヒ殺害容疑で逮捕されたD&T SecurityのCEOユ・ミノの逮捕状請求が棄却されたと伝えている。ミノはナイン財閥の令嬢イ・ジヨンと結婚して成り上がった男だ。しかし警察は新たな証拠で再び逮捕状を取るとの観測だ。警察を出るミノを多くのメディアが取り囲む。空港でキム・セヒ殺害の捜査資料に目を通す女がいる。携帯が鳴り、女は、すぐに向かう、と返事する。ナビの行先であったホテル・ベラジオを取り消し、江原道に向けベンツS500を走らせる。雪深い山道を行くと、道端にパトカーが停まっていて、通行車両を記録している。細い私道に入ると行き止まりに豪華な山荘がある。ベルを鳴らすと男が出てくる。女は、弁護士ヤン・シネと名乗る。男はユ・ミノだ。ヤン弁護士はミノの義父が頼んだ無罪100%の辣腕弁護士だが、当の本人はミノの主張を聞いてから弁護するかを決めると言う。明朝には新たな逮捕状が執行されるとの緊張感の中、ミノが事件を語り始める。それは、完全な密室の中、ミノの不倫相手セヒが殴り殺され、警官隊がドアを蹴破って入り部屋の中にいたミノを逮捕した、という絶望的な案件だ。こうしてミノとヤン弁護士は、恐怖に満ちた事件の真相へと会話で斬り込んでいくのだ…

 

容疑者ユ・ミノに、韓流四天王なみの人気ソ・ジソプ、ヤン・シネ弁護士に、「シュリ」で主演映画デビュー後アラフィフとなってますます演技に磨きがかかる名女優キム・ユンジン、ミノの不倫相手キム・セヒに、かつて”世界で最も美しい顔”1位を2年連続で獲ったガールズグループ<Afterschool>ナナ、事件の重要な鍵を握るハン・ヨンソクに、超名優チェ・ミンシクの実兄だというチェ・グァンイル。特別出演では、女弁護士に、『冬ソナ』チェ・ジウの先輩チョンア姉さんことパク・ヒョンスク。

 

基本的には二人きり密室会話劇タイプのサスペンスといって良いでしょう。ただ、会話に登場する過去の出来事は役者陣が演じているので、映画の冒頭では既に死んでいる<Afterschool>ナナも存分に楽しめますし、様々に展開する推理の方向性によって登場人物が入れ替わって再現されたり、と相当にトリッキーな絵作りになっていて、個人的には余り見ないサスペンス映画のプロトタイプとして評価しても良いと思います。さらに、雪に囲まれる舞台的な、朝までという時間的な制限の中なので、サスペンスはさらに盛り上がると感じます。役者陣も、キム・ユンジンがクールで渋い名演を見せてくれますし、ソ・ジゾブとナナという美しい俳優が相応の存在感を見せてくれて、テーマは別として、絵作りとして綺麗な映画だともいえると思います。

 

個人的には、終盤が少しバタバタしている感じもあり、多少論理的とは思えない設定があったりして、五つ星は見送りますが、会話劇の面白さを十分に感じる作品だといってもそれほど叱られないかもしれません。間もなく6月23日から日本公開が始まるので自分の眼で確かめることも可能です。

 

とにもかくにも<Afterschool>ナナが圧倒的に魅力的で、少し常盤貴子の面影があって韓国映画界では少ない超正統派美形ですし、劇中あることをきっかけに長い髪をバッサリ切った珍しいボブも見せてくれるわけで、その意味では大満足といえるでしょう。