スエつながりで…韓国初のバラバラ、ダメダメ女子アイスホッケー国家代表チームの成長を描いてほぼ好感…「プロミス 氷上の女神たち(原題:国家代表2)」

 

2002年、冷麺屋のTVでは冬季大会の実況が映されている。スキージャンプで飛ぶのはチャ・ホンテだ。次は女子ショートトラックだ。トップを争う韓国人二人はパク・チェギョンとスター選手イ・ボミだが、チェギョンが無理に進路変更し、二人とも転倒してしまう。盛り上がる店内をよそに店の帳簿をつけるのは脱北者の元アイスホッケー選手リ・ジウォンだ。韓国ホッケー協会では、冬季五輪誘致のため、形だけでも女子アイスホッケー代表チームを作ろうとしている。女子では実業団すらないのだ。協会長は監督にカン・デウンを選ぶ。かつては活躍したが今はただの飲んだくれ無職親父だ。テウンはまず北朝鮮の元代表リ・ジウォンに声をかけるがすげなく断られる。女子アイスホッケーの本場フィンランドでの活動を希望しているのだ。しかしビザが下りない。テウンは韓国代表での活動と引き換えにビザ発給を約束し、何とかチームに参加させる。さらにイ・ボミを転倒させ”裏切者”と世間から責められるショートトラックのチェギョンを無理やり参加させる。他に、募集に応じる形で元フィギュアのカヨン、インラインホッケーの中学生ソヒョン、フィールドホッケーのヨンジャ、そしてホッケー協会経理ミランもローラースケートが得意とのことでチーム参加し、最低の6人が揃い初の国家代表チームが無謀なスタートを切るのだ…

 

脱北者で元北朝鮮国家代表選手リ・ジウォンに、スエ、スケベ酒浸りカン・デウン監督に、この後#MeToo禍に見舞われるオ・ダルス、元ショートトラック選手パク・チェギョンに、「チーズ・イン・トラップ」主演の美形オ・ヨンソ、元ホッケー選手コ・ヨンジャに、ちょっと太めのハ・ジェスク、アイスホッケー協会経理チョ・ミランに、ちょっと大島優子の雰囲気があって好感キム・スルギ、元フィギュアスケート選手キム・ガヨンに、「ドアロック」の美形キム・イェウォン、インラインホッケーのエース中学生シン・ソヒョンに、「星から来た男(原題:スーパーマン)」「ヘンゼルとグレーテル」の可愛い子役もミドルティーン、チン・ジヒ、チウォンの妹で北朝鮮代表選手リ・ジヘに、この後「パラサイト」「福岡 Fukuoka」で驚くべき名演を見せるパク・ソダム、テウンの父に、大ファン韓国映画界の至宝老優チュ・ヒョン、チウォンの父に、名脇役イ・ドギョン、協会長に渋いキム・ウンス、テウンの妹に、怪女優イ・ボンリョン、冷麺店主に、笑えるチョン・ソギョン。特別出演では、冒頭のスキージャンプ選手に、前作「国家代表」主演ハ・ジョンウ、口汚い韓国実況解説者に、大物チョ・ジヌン、冒頭で転倒するショートトラック選手イ・ボミに、大ファンのガールズグループ<EXID>の美形ハニ。

 

原題の通り、韓国でなじみのないスポーツ分野で急造された初の国家代表チームの悪戦苦闘をコミカル、感動的に描くシリーズの第2弾です。前作とは全く別の物語なので観ている必要は全くありませんが、前作が好みなら本作も全く同じ文脈なので刺さる可能性は高いでしょう。さらに今回は女子チームなので賑やか華やかな感じは悪くありません。前作の感動ネタは、米国養子でしたが、今回は南北離散姉妹となっていて、北に残った妹を後にブレイクするパク・ソダムが見事に演じていてお得感倍増という感じになってたりします。前作同様、序盤のバラバラ、ボロボロなメンバーが次第にまとまっていく様はややお遊びが過ぎますが、役者の熱演や本格的で迫力満点のゲームシーンが巧く盛り上げていくのは見事でしょう。オ・ダルスもスエも良いですが、個人的には、経理から転身するキム・スルギ、子役を脱皮しつつあるチン・ジヒ、切ない北朝鮮選手を演じるパク・ソダムがツボです。

 

史実では2003年長野のアジア競技大会が初舞台ではなさそうだったり(by Wiki)、対日本戦での敗戦が誤審によると匂わしたり、前作同様の不必要な脚色が見られるのが引っかかって五つ星にはしませんが、娯楽スポーツ映画としては存分に楽しめる作品になっていると思います。若手女優たちによる群像劇として観ても良いでしょう。

 

楽曲について。全ての作品は前作に続いての音楽監督イ・ジェハク(이재학)によるもので、猛特訓で流れるのは前作「国家代表」のため作られたイ・ジェハク自身が歌う「シャンパンのために(샴페인을 위하여)」、猛特訓とエンディングで流れるのは『春のワルツ』等々ostでは有名な<Loveholics>が歌う「Butterfly」、エンディングのもう1曲はイ・ジェハクとMadyのデュエット曲「Friends」。