イ・ソンギュンが出てきたので…朝鮮王朝版、奇想天外シャーロック・ホームズ活躍譚、って感じの時代劇エンタテインメント…「王様の事件手帖」

 

科挙を首席合格した若いユン・イソは、王の近くに仕える芸文館(イェムングァン:王の言葉を記録する部署)に勤めることになり緊張気味だ。職場に初出勤すると上司の直提学(チクチェハク)は王のもとに連れていく。王は、兄の桃源君急死で代わりに即位した弟の8代睿宗(イェジョン)だ。睿宗は生真面目ながら映像記憶能力など優秀なイソを気に入ったようだ。彼を”五歩(オボ)”と呼び、五歩以内を離れるなと命じる。そんな時、睿宗を批判する案山子(カカシ)が立てられ、その前で、急に頭が燃え出して男が死ぬという事件が起こる。当時、宮廷は反睿宗勢力が牛耳っており、兄桃源君の幼い息子慈城君(チャソングン)を担ぎ上げようとしていた。こうして睿宗、五歩(オボ)コンビは大事件の渦中に飛び込んでいくのだ…

 

睿宗(イェジョン)に、硬軟自在イ・ソンギュン、”五歩(オボ)”と呼ばれるユン・イソに、一見俳優っぽく見えない演技派アン・ジェホン、悪役ナム・ゴニ兵曹参判(ピョンジョチャムパン≒国防副大臣くらい)に、最近活躍著しいキム・ヒウォン、巫女ソナに、キュートなキョン・スジン、睿宗の護衛剣士フグン(黒雲)に、後に「ユ・ヨルの音楽アルバム」主演チョン・ヘイン、イソの上司直提学(チクチェハク)に、脇役の方のチュ・ジンモ、兄嫁で慈城君(チャソングン)の母に、巧いチャン・ヨンナム、朝廷の悪役三人組に、皆お馴染みキム・ホンパ、キム・ウンス、チョ・ヨンジン、若い慈城君(チャソングン)に、ベテラン子役オム・ジソン。特別出演では、病床の兄桃源君に、そうとは気づかなかった超売れっ子若手パク・チョンミン。

 

イメージするなら、2009年からのガイ・リッチー監督ロバート・ダウニー・Jr主演「シャーロック・ホームズ」シリーズを思い浮かべれば、そんなに違わないと思います。観る前は、間抜けな主君、優秀な部下コンビと勝手に思い込んでいましたが、イ・ソンギュンが文武両道の名探偵王、アン・ジェホンはたまには役立つ狂言回しのワトソン博士みたいな感じで、これはこれで名コンビだといえるでしょう。楽しく時間を過ごすことが出来る作品ではありますが、女優の活躍が殆どないのがかなり寂しい感じもあり、記憶に残る尖り方がもう少し欲しかったかもしれません。

 

時代考証を無視したド派手なアクション、スペクタクル満載で、エンタテインメントに徹した160万人のヒットに恥じない娯楽大作といはいえるでしょう。

 

土地勘のメモ。咸吉道(ハムギルド)は、現在の北朝鮮・咸鏡南道・北道(ハムギョンナムド・プクト)に当たる東北地域の旧名。怪魚が現れるクァンナル(광나루)は、今の5号線クァンナル駅があるソウル東端の漢江沿いの地域でしょう。漢字名のない固有名の駅はそんなに多くないような気がします。