イ・ギョンヨンつながりで、邦題は日活ロマンポルノみたいなタイトルですが、「霊 -リョン-」以来久しぶりにキム・ハヌルの怖い演技が炸裂…「女教師 ~シークレット・レッスン~」

 

男子校スヨン高等学校。非正規教員パク・ヒョジュが化学の授業を行なっていると職員室から突然の呼び出しがある。女性教師の一人が産気づいたのだ。無事救急車に乗せることができるが、ヒョジュは臨時で3年4組の担任を任される。その後、四人の非正規女性職員が教頭に呼び出され、非正規契約に「妊娠・出産時に退職を勧告できる」という条項が追加されたのでサインしろと強要される。来年非正規教員枠が一つ減ることもあり、彼女たちに断る選択肢はない。過酷な業務で疲れ果てて帰ると、恋人サンウが食事を待っている。作家志望の彼を10年来食べさせてやっているのだ。翌朝出勤すると、黒塗りの高級車から老紳士と若い女が降りてくる。紳士は学校の理事長、女は娘のへヨンでいきなり正規教員として採用されたという。この若い女が、ヒョジュの人生を狂わせることになるのだ…

 

スヨン高校非正規教員パク・ヒョジュに、40代になってますます円熟キム・ハヌル、何不自由のない理事長の娘チュ・ヘヨンに、五つ星「待ちくたびれて」で観たはずの美形ユ・イニョン、バレエ特技生シン・ジェハに、映画はこれがデビュー作二枚目イ・ウォングン、ヒョジュの10年来の恋人サンウに、性格俳優イ・ヒジュン、チェハの父親に、ホン・サンス作常連の名優キ・ジュボン、教頭に、チンピラがお得意チョン・ソギョン。特別出演では、ヘヨンの父で理事長に、渋いイ・ギョンヨン、ヘヨンの婚約者に、長身二枚目イ・ギウ。友情出演では、冒頭産休を取る教師に、芸達者オク・チヨン、バレエ指導者に、「大好きだから」などのオ・ナラ。

 

基本的には、観終えて寝つきが悪くなるタイプの心理ホラーという感じでしょう。序盤ヒロインは、女性で非正規職ならではのパワハラ・モラハラに苦しみ、何不自由ない金持ち令嬢に職を奪われそうになり、手ひどく追い詰められていきます。そして或る出来事をきっかけに反転攻勢に出るが…って展開ですが、同情はできても、共感は難しいと感じる観客も多いと思われます。

 

個人的には、ヒロインを含めて共感できる登場人物が殆どいないことが致命的に感じます。本来なら、キム・ハヌルのファン限定のお薦め、と言いたいところですが、美しくは撮られてはいるものの、彼女らしい演技か、にも疑問があるので、観るか否かには慎重な検討が必要でしょう。

 

ちなみに、エンドロールで流れる印象的なタンゴは、「不朽の名作」で活躍したという歌唱力を誇るアリ(알리(Ali))が歌う「거짓말이라도 해요(嘘でもいいから言って)」。尚、音楽関連クレジットには、ハミング担当としてキム・ハヌルの名前が見えるので、ハミングが聞こえれば注目してみるのもありでしょう。