作品としてのつながりはありませんが、天才美少女イ・セヨンの名前が出てきたので、マ・ドンソクとの、美女と野獣の楽しいコンビ、と思いきや、思いのほか凄惨だった…「守護教師」

 

地方都市の夜。ダムの上を、薄着で裸足の少女が歩いている。黒いセダンが正面から近づいてくる。そしてセダンは彼女を乗せて走り去る…ソウル。下町の居酒屋では、アマチュアボクシング連盟の連中が飲み会だ。そこへ、元東洋チャンピオンのキチョルが現れる。教え子にヤラセを強いた連盟に腹を立てているのだ。先輩に対して失礼だと言う副会長を一発の左ボディで倒す…キチョルは車で田舎道を走る。妹が、除名され失職した兄のために、再就職先、地方都市の教師の職を見つけてくれたのだ。その町は、郡長選挙の真っ最中だ。町に着くと、一人の少女が、三人組の少女たちと揉めている。キチョルは割ってはいるが、両方から、うるさい、と罵られる。少女はユジン、行方不明の友人スヨンを探して歩いている。新しい勤め先はソファ女子校で、理事長は郡長選挙の有力候補キム・ギテだ。まず与えられた仕事は、学費・給食費滞納家庭からの取り立てだ。ユジンもスヨンも対象者だったが、キチョルは、ユジンとスヨンの祖母以外が、スヨンの行方不明に無関心なことに気づく。そして、魔の手は、ユジンにも近づいていた…

 

ソファ(瑞花)女子高校に赴任してきた元東洋チャンプのボクサーで体育教師ヨク・キチョルに、本来の野獣姿マ・ドンソク、消えた友人を必死で探す女子高生カン・ユジンに、五つ星「冬の小鳥」「アジョシ」「バービー」の天才美少女も早やハイティーン、キム・セロン、ソファ(瑞花)女子高校理事長で知事選出馬のキム・ギテに、「トガニ」の悪役ぶりがいまだに尾を引くチャン・グァン、美術教師キム・ジソンに、二枚目イ・サンヨプ、失踪した女子高生ハン・スヨンに、美形シン・セフィ、高級クラブ、ヤヌスのカク社長に、今回は悪役チン・ソンギュ。特別出演では、キチョルの妹スジンに、マ・ドンソクとの兄妹は絶対に無理がある相当な美形ソン・ウンソ。

 

ストーリーとしては、地方都市を舞台にした多少ヒネリを加えた西部劇、といった感じですが、主演二人の魅力を上手く引き出していて好感です。マ・ドンソクは、野獣の着ぐるみを被った高倉健みたいに、不器用な正義漢を演じてピタリとハマってますし、キム・セロンは、追う側、狙われる側の両方をちょっとニヒルに、そしてビジュアルに演じて上手く魅力が引き出されているでしょう。

 

例によって、悪党たちが悪辣なだけで深みなんか欠片(カケラ)も感じられなく、作品に浅い感じが否めないのは残念ですが、らしいマ・ドンソクと成長したキム・セロンを堪能する分には、充分な出来ばえだと思います。何となくビジュアル的に楽しい凸凹コンビの活躍譚を想像しちゃいそうですが、それなりに残酷な物語なので、そこは注意された方が良いでしょう。

 

ちなみに、背景となる選挙ですが、字幕では知事選とありますが、実際は郡守(郡の長)選なので、ちょっと大きい町の町長選くらいを思い描いて観た方がリアルに感じられると思われます。