イメージ 1

 

最近、邦版DVDがリリースされましたが、例によって、ガールズグループ"f(x)"のソルリが主演と知り、前後の見境を失い借りました…「ファッションキング (原題:ファッション王)」。

田舎の山寺。小坊主たちが寺の階段で「だるまさんがころんだ」に興じている。住職が通りがかり、ふと小坊主たちの足元に目を止める。小坊主たちのゴム靴には、ナイキやアディダスのロゴがあしらわれている。住職は贅沢だと小坊主たちを叱るが、小坊主たちは"センス(カンジ:ブログ注:"カンジ"については後述)の良い"ゴム靴だと言い返す。そこへ、小坊主たちに"センス"を教えた派手な形(ナリ)のイルチン僧侶が現れる。イルチン僧侶は膝を折り、"センス"の世界を究めたい、と住職に懇願し、山を下りていく…江原道、雪降る田舎町の高校。ウ・ギミョン(19)が登校してくるが、番長トゥシクがいきなりキミョンに飛び蹴りを食らわせ、股くぐりをさせ、パンを買いにいかせる。キミョンは、ウ・ギミョン(有記名)ではなくム・ギミョン(無記名)と蔑まれる究極の"シャトル王(シャトル≒パシリ)"なのだ。キミョンは母親と二人、逃げるようにソウルへ引っ越しする。ソウルで出迎えたのは、大家の娘でキミョンが転校する高校に通う"キアン高校全校1位"ガリ勉娘ウンジン(19)だ。キミョンは塾通いを始めるが、そこで衝撃的な出会いがある。"キアン高校の女神"パク・ヘジン(19)との出会いだ。まばゆいばかりのヘジンに、キミョンは心を奪われる。そのヘジンを高級車で塾まで迎えに来たのは、"キアン高校のファンテジャ(皇太子)"キム・ウォノ(19)だ。二人は、キアン高校最高の公認カップルだ。キミョンは転校祝いにと母親にねだって"Moncler"のダウンジャケットを40万ウォンで買うが、その日、チンピラのチャンジュに路地に連れ込まれカツアゲされる。チャンジュは"Moncler"が40万ウォンと聞き偽物だと指摘するが、案の定、ラベルは"Muncler"だ。ところが、チャンジュのダウンも"Muncler"だ。二人は怒って、ダウンを売った通販会社"復学生(Bokhaksaeng)ドットコム"に怒鳴り込む。出てきたのは"復学生ドットコムCEO"キム・ナムジョン(??)だ。居直って返金に応じないナムジョンに怒る二人だが、下町の路店で買った安物を組み合わせて纏うだけで絶大な人気を集める彼の"センス"に感銘を受け、二人はナムジョンの下で働くことになってしまう。それから二人は、ナムジョンの指導の下、通販モデルをやりながら"センス"修行を続ける。やがて、キアン高校始業式の日が来る。この日は、全校生徒がファッション"センス"を競う日だ。まず登場したのは、超絶スタイルと美貌のキム・ヘナだ。男たちがそのファッションに狂乱するが、それを上回るのがヘジン女神/ウォノ皇太子カップルの登場だ。そして、その後には、驚くほど変身したキミョンが続く。こうして、キアン高校を舞台にした壮絶なファンッション・バトルの幕が切って落とされたのだ…

パシリからどんどん進化していくウ・ギミョンに、「特捜本」「未確認動画」「キャッチ・ミー」と年1本ずつ主演作を積み重ねる伸び盛りチュウォン、地味なガリ勉娘ウンジンに、ガールズグループ"f(x)"のソルリ(余談ですが、"f(x)には、脱退した"少女時代"ジェシカの実妹クリスタルやガールズグループで三本指に入る名ボーカリストのルナがいます)、キアン高校の皇太子で大金持ちの息子ウォノに、モデル出身で映画デビューのアン・ジェヒョン、キアン高校の女神パク・ヘジンに、やはり映画デビューの美形パク・セヨン、ファッションの鬼才キム・ナムジョンに、本来やくざや殺し屋がお得意のキム・ソンオ、キミョンの母に、美貌の演技派熟女イ・イルファ。特別出演では、ウォノの父に、最近出ずっぱりの名優イ・ギョンヨン、キアン高校絶世の美女キム・ヘナに、事実アメリカの映画情報サイト"TC Candler"の「世界で最も美しい顔100人」2014年版でNo.1に輝いたガールズグループ"Afterschool"のナナ(ちなみに2位は新「キャリー」のクロエ・モリッツ)。

原作は、劇中に高校の名前として使われた漫画家"キアン84"のNAVERウェブ漫画"ファッション王"。原画を見ましたが、大友克洋を崩したようなシュールな画筆で、ファッションというきらびやかなイメージとはちょっと違った独特の世界観を醸し出します。もしファッションという要素を削ぎ落とせば、イジメだの暴力だの隠し子だの結構悲惨な要素の多い物語ですが、ファッション・バトルという舞台を加えることで、かなり近未来的で不思議な味わいになっていると云えるでしょう。ただ、ファッションの世界など全く無縁で、作中に登場する奇抜な装いを"センスあるぅ~"とか思えないこともあって、シュールな学園ものだと「多細胞少女」の方に軍配を上げざるを得ないでしょう。役者では、やはりチュウォンとソルリでしょう。チュウォンは、シリアスからお間抜けまでこなす器用さが光っていて、将来楽しみな若手です。ソルリは、ダサ地味ガリ勉娘から脱皮していく様をキュートに演じていて、これまた期待できます。ただ全般には、若い役者陣に深みが欠けていて、その意味でも「多細胞少女」に及ばないと思います。

そもそも、若者ファッションが主題の映画ですから、還暦爺はお呼びでないのでしょう。感性豊かな若者たちにお任せするしかない、って"感じ"の作品です。

備忘録。映画の主題ともいえる、字幕で"センス"と訳される"간지(カンジ)"ですが、辞書に適当な単語がないので調べてみると、どうやら日本語の"感じ"から来ているようです。"간지(カンジ)"+"나다(出る)"="간지나다(カンジナダ)"で、"センスがある""イケてる"という意味で使われたり、"간지(カンジ)"+"ナム(男)"="간지남(カンジナム)"で、"センスある男"という意味で使われたりするそうです。ただ、ちゃんとした大人は使わないでしょう、的な若者言葉のようです。