イメージ 1

 

今回の未見日本版DVDは、30歳を超えても独特の魅力を発揮し続けるイム・スジョンと韓国映画へは5年ぶりの登場コン・ユによる、軽妙なラブ・ストーリー、「あなたの初恋探します <キム・ジョンウク探し>」。

ジョードプル駅。インド西部にあってブルーシティの異名を持つ美しい町だ。チウは、ごった返す人波をかき分けて男の背中を追うが、結局追いつかないまま汽車が走り去る。現在。劇場は、開幕が迫るミュージカル”Last Show"の準備に殺気だっている。舞台監督チウは、遅刻する主演女優に悩まされる上、傲慢なベテラン女優にラテを買いに行かされ歯噛みする。コーヒーショップに行くと、見合いした二枚目機長が現れチウに婚約指輪を手渡すが、慌てたチウは指輪を押し返す。インドで出会った初恋のキム・ジョンウクが忘れられないのだ。それを知った父親は激怒する。旅行代理店。生真面目ゆえ降格されたキジュンは、ナミソム(南怡島)でヨン様の扮装をして日本のおばさんツアーの相手をさせられるが、ついに切れて辞めてしまう。失業したキジュンは、同級生による詐欺事件をきっかけに、初恋の人を捜す仕事を思いつく。姉夫婦の職場を借りて「初恋事務所」を開くが、なかなかまともな客が来ない。そんな時、チウが、初恋のキム・ジョンウクを見つけない限り娘は結婚できないと考えた父親に引っ張られてくる。こうして、チウとキジュンのキム・ジョンウク捜しが始まる…

舞台監督ソ・ジウに、イム・スジョン、初恋の人捜し屋ハン・ギジュンに、コン・ユ。ソ・ジウ関連では、父親の大領(大佐)に、軽い役は久しぶりのチョン・ホジン、妹に、大ファンのイ・チョンア、先輩ミュージカル女優スギョンに、実際実力派ミュージカル俳優のチョン・スギョン。ハン・ギジュン関連では、売れない作家の義兄に、『冬ソナ』とかお馴染みのリュ・スンス、実姉に、チャン・ジン作品常連チャン・ヨンナム、元上司の旅行代理店支店長に、笑える名脇役チョン・ギュス。特別出演も豪華で、チウにプロポーズする機長に、個性派二枚目シン・ソンノク、変な初恋探し依頼者に、渋いチェ・イルファ、農村のキム・ジョンウクに、コメディアンのチョン・ジュナ、似た名前のキム・ジョンムクに、こちらも個性派二枚目オ・マンソク、チウの妹の恋人に、芸域を広げるキム・ドンウク、本物のキム・ジョンウクに、やはりミュージカルが本職オム・ギジュン。

本国では100万人を動員したと聞きますが、確かに上出来のラブ・ストーリーだと云えるでしょう。まずシナリオが秀逸。メインのストーリーは、凸凹コンビがキム・ジョンウクという男を捜す、というシンプルなものですが、インドや大阪を舞台に展開されるチウの初恋物語や、準備から開幕に向かうミュージカル興行のドタバタがサブ・ストーリーとして良く効いていますし、さらには、全編に散りばめられた小ネタがメチャメチャ笑えるという、なかなか贅沢な作りになっています。でも、やっぱり役者。まず、久しぶりに軽い役所(ヤクドコロ)のイム・スジョン。もともとコメディエンヌの才能も凄い女優ですが、あの童顔で婚期を逸しそうなアラサーを実に楽しそうに演じていて絶品です。一方のコン・ユも、面白みのない七三分け生真面目男と、追想(妄想)シーンでの二枚目キム・ジョンウク役を巧みに使い分け、こんなに巧い俳優だったか、と思わず見直してしまいます。他にも、次々に登場する主演級の俳優たちがそれぞれの持ち味を発揮して、2時間全くだれさせないのも嬉しい所です。

深い味わいが残るような映画ではないので五つ星にはしませんが、贅沢でいながら軽妙、劇場に足を運んでも十二分にモトが取れる上出来ラブ・ストーリーだと思います。

日本版DVDについて恨み節を一言。このDVDでは、韓国ドラマでは良く見かけるように、ボカシが満載です。勿論アダルトなものではなく、いわゆる「権利関係」のためで、原盤を確かめると、キジュンのセーターは"ミッキーマウス"ですし、姉夫婦の家は知らない可愛いキャラクター群*でした。特に姉夫婦の家はこのキャラクターが満載で、ボカシだらけになっています。勿論大人の事情は理解しますが、あくまで芸術作品であることを熟慮して媒体を製作することを、強く望みたいと思います。

*2011.11.17 どうでもいいことですが、謎の可愛いキャラクター群は、見たことはありませんが"ワンピース"のようです。