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老優パク・クニョン、名子役パク・サランのWつながりで、動物・スポーツ・ムービー、「グランプリ」。

グランプリ優勝を夢見る女騎手チュヒは、レースで接触事故に巻き込まれ、愛馬プルムは、骨折し安楽死を施される。絶望したチュヒは、プルムの骨を抱え、愛馬の故郷チェジュ(済州)島へ向かう。島で、グランプリ二冠の名馬ムペジェワン(無敗帝王)にまたがる帝王牧場の息子ウソクと出会うが、軽薄なウソクはしつこく彼女につきまとう。チュヒは、プルムの育ての親マンチュルの牧場に身を寄せるが、その牧場では、ムペジェワンによく似た名馬タムラと、孤児となった少女ソシムが彼女を優しく受け入れる。さらに、ウソクやムペジェワンの助けも借り、チュヒは、次第にグランプリへの夢を取り戻していく…

女騎手ソ・ジュヒに、美貌のキム・テヒ、ひょうきんな牧場の息子ウソクに、多分除隊後の初仕事「受取人不明」などの個性派ヤン・ドングン、老牧場主マンチュルに、貫祿のパク・クニョン、帝王牧場の女主(アルジ)に、名女優コ・ドゥシム、孤児の少女ソシムに、名子役パク・サラン、帝王牧場の使用人に、笑えるウ・ヒョン、女調教師に、「悪い女<青い門>」『冬ソナ』のイ・ヘウン。特別出演では、船員に、渋いチェ・ジョンウ、チュヒの母親に、やはり『冬ソナ』のソン・オクスクの顔も見えます。

エリザベス・テーラー亡き今となっては、世界で最も美しい女優だと思えるキム・テヒの主演ですが、まぁ「それだけ」と言われても仕方ないでしょう。出来不出来の差が激しいヤン・ユノ監督ですが、16話TVドラマほどの起伏もなく淡々と予定調和的に進む物語は、あまり見るべき所はありません。強いて云うと、済州国際空港を使った、恋愛ドラマではお馴染みのバス追いかけシーンの大胆なパロディに、かなり笑えるくらいでしょうか。それにしても、キム・テヒは、相変わらず美しいと言わざるを得ません。馬との共演も見事で、済州島の絶景にもピタリとはまり、一幅の名画を見るが如きシーンがあまたあります。一方のヤン・ドングンですが、いつも訳の分からない替え歌を口ずさみ妙な踊りを見せる軽薄な青年役は、映画らしい名演技を見ることは出来なくとも、それはそれでヤン・ドングンらしいと云えるかもしれません。ヤン・ユノ監督とは、デビュー作「ホワイト・バレンタイン」以来の長い付き合いなので、肩の力が十分に抜けた、という所でしょう。ヤン・ユノ監督は、ヤン・ドングンが酒を注文する屋台のオヤジ役で顔を出していて、その後ろに二人の「風のファイター」のポスターが見えている所なんぞは、遊び心が過ぎているのかもしれません。

ヤン・ユノ監督「ホワイト・バレンタイン」の感想でも書いたように、キム・テヒとヤン・ドングンを見ながら、「ストーリーを追うというよりは、短く切れ味良いシーンの連なりを楽しむ」という感じの作品だと思います。二人のファン以外には、まずお薦めできないでしょう。

ちなみに、挿入歌・エンディング曲である「笑って」はキム・テヒが歌っていて、意外に聞ける出来なんですが、さすが歌手でもあるヤン・ドングンがかぶせるラップの切れ味が抜群だったりします。