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イム・チャンジョンとキム・スミのWつながりで、ど真ん中直球ロマコメ「チョンダム(清潭)菩薩」。

300億ウォン規模とも云われる占い市場だが、清潭菩薩と呼ばれる超売れっ子巫女テランを中心に、巫女チヘ、巫堂ピョンス、占いを信じないマネージャー、チュヨンの四人が経営する、カンナムはチョンダム(清潭)洞にある占い館「Fortune Salon」も盛況だ。今日も、妊娠させられ捨てられた女、浮気者に翻弄される有名女優、明らかに継続不能な年違いカップル…などが、自分の未来を聞きにやって来る。何一つ不自由のないテランだったが、一つ大きな気がかりがある。認知症で入院中の、やはり巫女である母親が、二十数年前に託宣した彼女の未来だ。テランの決められた結婚相手は、1978年5月16日23時生まれで、名前に「木」の字が入っていて、28歳の誕生日までには出会うと云う。28歳の誕生日も近いある日、テランの運転するプジョー207は、落ちている1万ウォン札を拾おうとフラフラ車道に出てきた男を跳ねてしまい、さらに、急停車した彼女の車に、別のプジョーが追突して来る。テランは、男を病院に連れて行くが、追突してきたプジョーを運転するイケメンのことで頭が一杯だ。彼は、学生時代の初恋相手ホジュンだったのだ。男の怪我は大したことがなかったが、保険の手続きで、彼女は衝撃的事実を知る。男は、1978年5月16日23時生まれで、名前をイ(木)・スンウォンと云うのだ。しかも、元騎手ながら、今はドーピング検査のため厩舎で競走馬のオシッコを取って生計を立てる、家賃滞納男だと云う。それでもテランは、母親の託宣に従い、余りに身分違いのスンウォンに、付き合ってみよう、と嫌々誘いをかけるが、イケメン初恋男も、また、彼女に近づいてくる。ダメ男とリッチイケメンの間で、果たして、彼女の運命は…

清潭菩薩テランに、『バリでの出来事』のニューロな役が余りに印象的な美形パク・イェジン、ダメ男スンウォンに、ダメ男を演らせればチャ・テヒョンと双璧をなすイム・チャンジョン、色っぽい巫女チヘに、「チェイサー」のヘビーな役所から一転してお茶目なソ・ヨンヒ、巫堂ピョンスに、やはり「六穴砲強盗団」にも登場キム・ヒウォン、マネージャーのチュヨンに、意外にベテランの美形ソ・ユジョン、リッチイケメン男ホジュンに、『スターの恋人』『シティーホール』などで売れ筋イ・ジュニョク、そして、テランの母親カリスマ巫女に、完璧キム・スミ。占い館への客では、切ないカップル女に、大好きなパク・ヒョジュ、捨てられ女に、『ファンタスティック・カップル』で印象的なチョン・スヨン、有名女優に、巧いヒョニョン、などの顔も見えます。

この季節の冷や麦のように、何の引っ掛かりもなくスルスルと喉元を通り、しかも、後味さっぱり、最近ではかなり珍しい、直球ど真ん中ロマコメです。少しエピソードを足せば、あっと云う間に、16話ロマコメ連ドラになるでしょう。但し、ソ・ヨンヒが担当する下半身系ギャグは、かなり手直ししないと地上波では放送できませんが…決して貶している訳ではなく、何かを考えさせる仕掛けを抱えるコメディが多い中では、このストレートぶりは、それはそれで、かなり爽快です。観客も楽々100万人を超えていて、ちゃんと質さえ良ければ、社会派ぶらずとも十分に娯楽映画は成り立つ、そんなことを証明していると感じます。監督は、意外な掘り出し物「赤ちゃんと僕」のキム・ジニョンですが、本作も、ほとんど捻りがないにも関わらず、2時間存分に楽しませてくれます。勿論、役者の魅力も大きいでしょう。個人的にはナイーブな役しか知らないパク・イェジンですが、そのコメディエンヌぶりは驚く程の魅力を発散していますし、イム・チャンジョンも、超得意なダメ男ながら「六穴砲強盗団」に続いての少し抑え目な演技ぶりがまさにドンピシャ。勿論、極めつけはキム・スミで、娘の顔すら分からない認知症のカリスマ巫女という役は、完璧にハマリ役と云えるでしょう。

何度も云いますが、何かを求めるような映画ではないながら、2時間楽しむという意味で十分に魅力的な作品だ、と云いたいと思います。

余談ですが、定番のデートシーンがてんこ盛りだったりします。パク・ヨンテクの名が連呼されるLGツインズの本拠地チャムシル(蚕室)球場を始め、名サスペンス「セブンデイズ」が上映されるドライブインシアター、ナミソム(南怡)島のメタセコイヤ並木、バンポ(盤浦)大橋の月光レインボー噴水、とかとか…定番デートコースの勉強にも、もってこい、だと思われます。

最後に、印象に残る台詞を。まだしっかりしてた頃のカリスマ巫女キム・スミの切ない一言。「巫堂(ムーダン)は、雨が降るから傘を持って行け、とは云えるが、雨が降るのは止められない」。ストーリーラインにも関わる、名台詞です。