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ちょっと「私の愛、私のそばに」に戻って、イム・ハリョンつながりで、大好きなチャン・ジン作品、完璧五つ星、「グッドモーニング・プレジデント」 。

エピソード1。キム・ジョンホ大統領。任期も残すところあと半年余りとなった頃、歴代二人の大統領への特赦に関して国論が分かれる中、ワールドカップ招聘toto売り出し記念式典にイヤイヤ出席した大統領は、TVの前でtotoを買って見せ、もし当たれば全て寄付すると公言する。やがて、toto抽選の日。何と、大統領の選んだ「680219」が当たり、その当選金額は244億ウォン。交換期限は6カ月であるが、その日は次期大統領就任式の二日前、まだ大統領なのだ。さぁ、困った…エピソード2。後任、韓国のJFKと呼ばれるイケメン、シングル・ファーザー大統領チャ・ジウク。北朝鮮の挑発に、アメリカ第七艦隊の支援の下、海上自衛隊が韓国領海に無断で進入するという、一触即発の緊張状態に陥る。そんな時、一人の青年が、群衆の中、市場を視察中の大統領に突進してくるが…エピソード3。後任の韓国初女性大統領ハン・ギョンジャ。夫チェ・チャンミョン教授は、そこら辺のサラリーマンのように飲んだくれたりしては、大統領を困らせる。そんな時、大統領が進める遷都計画の候補地に、夫チェ教授が土地を購入していたことが発覚、大統領は窮地に陥るが…

キム大統領に、往年の二枚目俳優で渋いイ・スンジェ、イケメンのチャ大統領に、韓国映画は4年ぶりの二枚目チャン・ドンゴン、ハン女性大統領に、見事な演技派コ・ドゥシム、その夫チェ教授に、巧いイム・ハリョン、三代の大統領に仕える青瓦台の料理長に、チャン・ジン作品常連で迫力のイ・ムンス、三代の大統領に仕える警備室長に、脇役の方のチュ・ジンモ、キム大統領の娘でチャ大統領の初恋の相手イヨンに、結婚してますます色っぽいハン・チェヨン。エピソード1では、大統領夫人に、チョン・ヤンジャ、夫人が熱狂するドラマの主人公に、チョン・ユミ、秘書室長に、とぼけたチョン・ギュス。エピソード2では、北朝鮮密使に、大好きなリュ・スンニョン、謎の青年に、パク・ヘイル、大統領側近に、やはり常連チャン・ヨンナム。エピソード3では、反大統領派議員に、名優イ・ハヌィ。

前二作「偉大なる系譜」「息子(My Son ~あふれる想い~)」が、勿論面白くはありますが、チャン・ジンらしい弾けた感じに多少乏しかった、と感じていた所なんですが、今回は、完璧なチャン・ジン節復活、と云っていいと思います。本当に巧い。形式は、それぞれ三人の大統領を主役にした三つのエピソードからなるオムニバス風の構成ではありますが、個々のエピソードが、スケールある国家レベルの物語背景と生身の人間である大統領のコミカルだったり熱かったりする人間臭い物語が見事に噛み合っている所に、イ・ムンス演じる料理長やそれぞれの大統領が、縦糸のようにエピソード間をつなぎながら、しかも、苦笑・爆笑ユーモアをふんだんに織り込んで進むシナリオは、本当に見事の一言です。役者では、どこか可愛らしいイ・スンジェと久しぶりのインテリ役コ・ドゥシムにイム・ハリョンを加えた三人の中高年俳優が文句無しなんですが、注目は、久しぶりのチャン・ドンゴン。見る前は、チャン・ドンゴン中心の韓流映画か、と勝手に思い込んだりしてたんですが、蓋を開けると、先輩に一歩譲った感じで、少し気弱で心優しい大統領を等身大に演じています。それが、実に自然にチャン・ジン節に溶け込んでいて、さすが映画俳優としての懐の深さを感じさせ、納得で、「タイフーン」の印象は十二分に濯がれた、と云っていいでしょう。勿論、他にもチャン・ジン作品常連の曲者俳優があまた登場し、とにかく群像ものには滅法弱いのでかなり甘いのかもしれませんが、15人を超える名優たちを縦横無尽に動かして作り上げた物語は、五つ星以外は考えられない出来ばえ、としか云いようがありません。

これまた、微妙な立場で海上自衛隊や第七艦隊が登場したり、おそらく金大中大統領の対北政策がモチーフされてたり、日本での公開に多少の暗雲が感じられなくはありませんが、是非とも乗り越えて頂きたい、そう願わざるを得ません。