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超ベテランのキム・ギョンランおばさんつながりで、微妙なロマコメ「しーっ!彼女には秘密ですよ」 。

韓国系米国人アレックス・リーは、FBIトップクラスの捜査官。彼には、彼に韓国語を教える韓国人留学生ミミという恋人がいるが、彼女には正体を明かせない。アレックスはミミにプロポーズするために、ワシントンのお洒落なレストラン”Mr. Smith"を予約し、ミミは心待ちにするが、アレックスは緊急指令でニューヨークに飛び、ミミは待ちぼうけを食わされる。激怒したミミはアレックスの職場を探し歩くが、どこもそんな人は知らないと言い、ちょうどビザが切れることもあって、ミミは怒りのままに帰国してしまう。失恋に落ち込むアレックスに、FBIは特別休暇を与え、彼女の故郷へ追いかけろと言う。アレックスは、ポルギョ(筏橋)の駅に降り立つが、彼女の故郷ナクチソン村は、FBIが追う韓国人詐欺師ソン・チャンボンが、国際リゾート開発のため地上げしようと狙っているターゲットであった…

ミミに、「ホラーの女王」とも呼ばれるキム・ギュリ、アレックスに、『オンエア』に出演しダニエル・ヘニー、デニス・オに続く第三のハーフ・スターとして注目されるリッキー・キム。おばさんパワーが凄く、ミミの母親に、チョン・ウォンジュ、村の五月蠅いおばさん達に、キム・ギョンエやキム・ギョンラン。ミミの父親で里長に、60代半ばにして裸での相撲も見せる元気爺さんパク・ヨンシク、悪人の手先になる村人に、1980年代から映画・TVで活躍するキム・セジュンの顔も見えます。

実はこの映画の監督イ・インスは、「HAAN ハン・ギルス」「蒼空へ...」という併合時代を舞台にした抗日連作を撮った人で、できるだけ政治的色眼鏡は避けようと思っていても、シノプシスを読んだだけで手に取る気を失わせた監督だったりします。それが、三作目にして急にロマコメを撮ったということ、ホラーしか知らないキム・ギュリ、今注目の二枚目リッキー・キムが主演ということで見てみたんですが、やはり、かなり今いちと云わざるをえません。ニューヨークやワシントン、さらには、映画でナクチソン村と呼ばれるポルギョ(筏橋)に程近いナガンウプソン(楽安邑城)民俗村、ラムサールにも登録されるポルギョ(筏橋)干潟、といったロケもちゃんとしてて、ちょっとした旅行気分が味わえたりしますし、外国人流れ者がかっこ良く活躍する展開もそれなりに面白く出来てたりしますが、如何せんシナリオと演出が今一歩です。いきなり角材を持って殴り込んだり拉致したりする悪人にリアリティがないのと、ここで笑いを取るんだと意気込み連発するギャグがスベっているのが致命的でしょう。ただ、さすが注目のリッキー・キムはかっこ良く、ロマンティックなシーン、迫力あるアクション・シーン、そして韓服を着たりするコミカルなシーン、と、どの場面でもかなり光ってます。さらに、チョン・ウォンジュ、キム・ギョンエ という二人のおばさん俳優の怪演が見事で、特に、寝室でチョン・ウォンジュが旦那の里長に迫るシーンには、青ざめると共に、死ぬほど笑ったりできます。

この映画でも、アサヒ スーパードライを使ったギャグがあって、よほど日本がお嫌いと見えますが、別に映画の質さえ高ければ、褒めちぎるだけの度量はあるつもりでも、リッキー・キムのファン、おばさんパワー好き、以外の方にこの映画をお薦めするのは難しいと思います。時には、爆笑するシーンもあるんですが、役者の魅力によるばかりですから、「HAAN ハン・ギルス」「蒼空へ...」を手に取ることは、当面ないでしょう。