イメージ 1


仕事で一週間お休みしましたが、お久しぶりの感想は、これまたコリアン・テイスト・コメディ、「離れの選手とお母さん」。

父親が1億持ち逃げした挙げ句投獄され、借金取りに追われるしがない探偵の所へ、老婆が大金の入った鞄を持って、25年前5歳ではぐれた孫娘を探してほしいと云う。探偵は、最後に少女が目撃されたナムヘ(南海)郡サムドン(三東)面ムルゴン(勿巾)里に向かう。彼が宿に決めたのが、15歳で娘を産み、女手一つスナックと部屋貸しで、優等生娘オッキを育ててきた30歳のヘジュ。一方15歳のオッキは、身なりも構わない猛進母とソリが合わず、二人は喧嘩ばかり。そんな時、医者を名乗るイケメン男が部屋を借りに来たので、二人の心中に波風が巻き起こる。一方、探偵は、一段と厳しくなる借金取りの攻勢に、良からぬ考えに身を任せてしまうが…

探偵に、硬軟演じ分けられるイケメン「家門の栄光(大変な結婚)」チョン・ジュノ、猛進母ヘジュに、「家門の危機/復活」で名コメディシリーズを引き継いだ名コメディエンヌのキム・ウォニ、娘オッキに、「残酷な出勤」でもキュートな魅力を振りまいた20歳コ・ウナ、ヘジュに横恋慕する青年会会長に、やはり「家門の危機/復活」でキム・ウォニの義理の弟を演じたイム・ヒョンジュン。特別出演では、探偵の旧友に、クォン・オジュン、借金取りに、迫力イ・ハンウィ、娘の学校の先生に、「宿命」の監督でもある才人キム・ヘゴン。

この映画には下敷きとなった作品があります。シン・サンオク監督と主演女優チェ・ウニというその後数奇な運命を辿る夫婦による1961年の作品「離れの客とお母さん」。6歳の娘オッキが、未亡人である母親と離れに部屋を借りた画家の、封建制度に阻まれる切ない恋を応援するという作品だそうで、なかなか見つかりませんが、日本版VHSも出ているそうです。およそ50年の時を超え復活したのは、ゆで卵のエピソードなど巧みに原作を引きながら、娘も15歳に成長し、母親の恋のライバルになるというコメディとなっています。「残酷な出勤」同様、依頼人老婆への仕打ちとか、借金取りの取り扱いとか、笑うに笑えない要素を多分に含んでいるので、手放しでは楽しめない作品にはなってますが、とにかく、役者がベラボーに巧い。特に、母娘を演じる二人で、キム・ウォニの「家門の復活」でも見せたあまり豊かとは云えない胸ネタ、下手くそなコスプレ・カラオケネタとか、いつもながら体を張ったネタの連発には爆笑できますし、キュートなコ・ウナのさすが15歳の役は無理無理ながら屈折した偏屈少女振りもかなり楽しめます。

下品ネタ、コントネタ満載な上、残酷なエピソードも交え、さらに、ホロっとさせる様々な家族愛を織り込むという、いかにもなコリアン・テイスト・コメディと云えるでしょう。個人的には大好きですが、かなり見る客を選ぶと云わざるを得ません。

ちなみに、海や丘の自然が美しいムルゴン(勿巾)里は、「孤独にもがく時」の舞台ですし、『ファンタスティック・カップル』のオ・ジホの家が撮られたドイツ村もあって、ちょっとしたロケ・ブームになっているようです。

もっとちなみに、エンドロールにかぶるのは、よくある未公開シーンとNG集なんですが、目茶滅茶弾けたシーンのオンパレードで、何故本編で使わなかったのかと訝る出来ばえです。お見逃しなく…

なお、タイトルの「選手(선수)」という単語ですが、はっきりはしませんが、「プレイボーイ」「達人」「詐欺師」などの訳がなされていて、ちょっと癖のある人物を称するようです。

ついでに、オリジナルの「離れの客とお母さん」のポスターがあまりにノスタルジックだったので、今回の作品のポスターと並べています。