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絶対ケナすことになると思ってましたが、意外にも上出来でちょっと得した気分、ヤクザ・アクション映画の佳編、「宿命」。

カンゾプ、ウミン、チョルジュン、トワンのチンピラ4人がカジノを襲撃し、鞄3個分の現金を強奪するが、鞄1個を隠したところで、4人は集合場所でヤクザ達に捕まる。ウミンは、チョルジュンがヤクザに内通していたことを知るが、他の2人を助けるため、警察に自首する。2年後、出所したウミンは、チョルジュンが組織の中間ボスになったこと、カンゾプが隠した金を使い果たし姿をくらましたこと、トワンが薬物中毒になったこと、を知る。3人やヤクザとの悪縁は、ウミンを否応なしに抗争の世界に連れ戻すことになるが…

ウミンに、韓流ど真ん中ソン・スンホン、裏切り者チョルジュンにやはり韓流ど真ん中クォン・サンウ、金を投資で失うカンゾプに、最近コメディとかでも活躍アン・ネサン、薬物中毒のトワンに、「マルチュク青春通り」「恋する神父」でクォン・サンウと共演した芸達者キム・イングォン、ウミンの元彼女に、『窈窕淑女』『ファンタスティック・カップル』とか何故かストーカー役の多い「狐怪談」以来5年ぶりのスクリーン美形パク・ハンビョル、ヤクザの親分に、「将軍の息子」ミン・ウンシク、その右腕に、やはり韓流ど真ん中『オールイン』チソン。

てっきり、ソン・スンホン、クォン・サンウだけにスポットが当たった「韓流」映画だと思ってましたが、いやいや、6人の男がきっちり書き分けられていて、なかなか見応えのある作品に仕上がっています。薬物による狂気の演技で度肝を抜くキム・イングォンや落ちぶれたアン・ネサンあたりも光っていますが、意外だったのが、クォン・サンウとチソン。クォン・サンウは、妹を溺愛する一方で、平気で友人を裏切り、金に切羽詰まっていても罵る・殴るしか出来ない卑劣な勢いだけの中間ボスを嬉々として演じていて、さすがの映画キャリアを活かしていますし、チソンが、刺身のつまのような存在に見せて、実は5人と複雑な関係を持っていく狂言回し役を渋い凄味で演じていて、なかなか見応えがあったりします。この辺りは、シナリオや演出の巧さに依るところも大きく、6人の男の運命が微妙に、そして激しく交錯するちょっと群像劇的な物語は、ヤクザ映画「将軍の息子」でデビューし、自ら「ラブレター ~パイランより~」「頑張れグムスン」「甘い人生」「家門の危機/復活」などで数多くのヤクザを演じ、「これが法だ」「ラブレター ~パイランより~」「SSU」などの脚本を手がけてきたマルチ・タレント、キム・ヘゴン監督の経験と才能の賜物と思わせます。

ソン・スンホンとパク・ハンビョルが今ひとつ薄っぺらだったり、ソウルに見えないと思えばチェジュ(済州)市庁前の大道路だったり、相変わらずの金属バット乱闘がありきたりだったり、そんな所もあるにはありますが、想像以上の出来ばえだとは云えるでしょう。10月、GLAYの歌うテーマソングと共に日本公開されるそうですが、大画面で見るのも一興かもしれません。