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そろそろ納涼の季節も近づいたので、ネットで話題となったユ・イランの都市伝説ホラー集「ある日突然」をベースに作られた4本のオムニバス・ホラーから1番目、『チャングム』では王と側室の関係だったイム・ホとパク・ウネ主演、「2月29日」(2월29일 - 어느날 갑자기 첫번째 이야기)。

韓国のほぼ中心部慶北ムンギョン(聞慶)。売れない記者は、先輩の医者の勧めで、精神病院に収容されている暗闇恐怖症の美女の話を聞きに来る…2004年、かつて殺人犯の女が焼死した呪いが残っていると噂される料金徴収所に勤める美しい職員は、2月27日の深夜、突然停電した暗闇の中、黒い車に乗った女から血にまみれたチケットを受け取り恐怖に震える。刑事によると、別の料金徴収所の職員が惨殺されたことと関係がありそうだ。その日を境に、彼女の周りには、彼女と同じ服装の女がまとわりつき、暗闇を恐れ悪夢にうなされる日々が続く。そして、ある人にとっては4年に1度の誕生日であり、別の人にとっては4年に1度の命日でもある2月29日、恐怖は現実となって…

恐怖におののく料金徴収員に、その美貌にも関わらずあまり名作に縁がなかったものの出演したホン・サンス監督最新作「夜と昼」がベルリン映画祭に出品されたりして開花が期待されるパク・ウネ、むさい刑事に、イム・ホ、キュートな料金徴収員仲間に、『シリーズ 多細胞少女』副会長イム・ヒョンギョン、謎の女に、「お客様は王だ」とかの美形イ・ミョンジン。

若手監督発掘を目的とした低予算ホラーにしては、かなりの怖さに仕上がってします。特に、普段気にもしない8車線ほどの料金徴収所という場面設定は秀逸で、閉塞感たっぷりのブースや、ブースを地下でつなぐ地下通路が雰囲気たっぷりですし、暗闇と強烈な照明のコントラストなども巧く使われています。そして何より、パク・ウネが素晴らしく、平凡で可愛いOLが、次第に恐怖に追い詰められ、不眠症からどんどん壊れていく演技は圧巻と云えるでしょう。ありきたりな虚仮威しでも、彼女が絡むと独特の美学を感じさせるから不思議です。ただ、一見かなり凝った作りに見えるものの実はホラーとしての構成自体に目新しさがなかったり、イム・ホがいてもいなくても良いような惜しい使われ方をしてたりと、怖いのは相当怖いながら、それだけ、って感じなのは残念な気がします。もう少し、冒険をしても良かったのかもしれません。

いずれにせよ、2番目『パリ恋』キム・ソヒョン、3番目「ザ・ゲーム」ウンソン、4番目『恋するハイエナ』ソ・イヒョンと美形続きの連作に、十分期待を持たせる出来であるとは云えるでしょう。ちなみに、エンドロールが終わった後にもシーンがありますので、念のため…