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身分違いの激しい恋を描く、ただし男同士のだけど…見て、ちょっと後悔した、「後悔しない」。

孤児院育ちで同性愛の傾向を持つ青年は、18歳になりソウルへ…工場に勤めながら、夜は代行運転のバイトをして、大学へ行く金を貯めている。ある夜、代行運転を頼んできたイケメンに誘われ、断るが、工場のリストラ対象となった青年が抗議に行くと、そこには、社長の御曹司であるあのイケメンが…彼の計らいで工場に残れることになるが、その便宜に逆上した青年は、工場を辞め、カラオケを装った男娼クラブへと身を貶とす。ある夜、クラブへ御曹司が現れ、二人はホテルへ行くが…

主演の青年には、オーディションで選ばれた新人イ・ヨンフン、イケメン御曹司には、『頑張れ!クムスン』で早世するクムスンの夫を本名キム・ナムギルで演じて知る人も多いイ・ハン、先輩男娼に、チョ・ヒョンチョル、新人男娼に、『コーヒー・プリンス1号店』で人気上昇中のキム・ドンウク、御曹司の母親には、ペ・ドゥナの実母で演劇俳優のキム・ファヨン(見てすぐ分かるくらいよく似てます)、そして、苦悩する御曹司のフィアンセに、『1%の奇跡』の美形キム・ジョンファ。

ここに感想を書いた映画は、余りのつまらなさに終盤を見ず感想を書いちゃった或る1本だけを除けば、ちゃんと最初から最後まで見てるんですが、さすがに今回、「その」シーンは早送りしました。カミングアウトしたとも聞くイソン・ヒイル監督ならでは、と云うべきか、生々しくかなり具体的に描かれる「その」シーンは、綺麗と評する方も多いのですが、残念ながら(あまり残念でもないですが)肌に合いません。う~ん、色々なやり方があるのは多少理解しましたが…ただ映画としては、良く出来ていると思います。身寄りのない貧しい青年と、何不自由のない御曹司が、屈辱と偏見の中で、狂おしく引かれ合っていく描写は、ちょっとザラザラした質感の手持ちカメラを多用する映像により、ドキュメンタリーのような説得力を持つ雰囲気を醸し出していて、代行運転中バックミラー越しに視線を交わし分かり合ってしまうシーンなんかは、ゾクゾクするような色気を漂わせます。また、主舞台となるXLargeという男娼クラブの描写も、行ったことはありませんが、さもありなん、と思わせる強烈な猥雑さを見せて圧巻だったりします。最後の方、多少筆が滑ったかと思わせる不要なバタバタがあったりはしますが、希望とも絶望ともつかない微妙な色合いの余韻を残すエンディングも、良く練られているように感じます。

男の同性愛を描いた映画には名作が多いと聞きますが、なるほど、独特の世界観が滲み出る作品に仕上がっていることは、確かなように感じます。また、テーマはさておき、インディーズ出身監督の力量が、十分メジャーに通用するものであることも、多分、間違いないでしょう。それはそれとして、やっぱり、見て、多少後悔したのは事実ですが…

ちなみに、この映画について調べている内に、この映画の非公式ファンサイトに行き当たったんですが、ロケ地や台詞、着メロを含む使用音楽等について、かなり詳細に調べられていてビックリしました。それなりに韓国映画を見ていますが、1本の映画だけでこれだけのファンサイトを持っている映画は他に知りません。興味があれば、日本でのフェスティバル公開時のタイトル「悔いなき恋-NO REGRET-」で検索すればヒットすると思います。