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ベトナム戦争を舞台に描く、戦争ホラーの佳編、「Rポイント」。

1972年、ベトナム。6カ月前、R(ロメオ)ポイントで、16人の内一人の負傷兵を残し全滅した筈の小隊から、断続的に救援を求める無線が入り始める。師団本部は彼らの消息を確認すべく、帰国間近の部隊から志願を募り、調査隊を派遣する。歴戦の勇士である中尉率いる調査隊はRポイントに到着するが、そこで見たものは…

冷静沈着な中尉に、「情愛(結婚は狂気の沙汰)」で銀幕デビューし2作目「王の男」のカム・ウソン、冷酷な軍曹に、憎まれ役はお得意の「大統領の理髪師」「美しき野獣」ソン・ビョンホ、家族思いの調理兵に、「奇跡の夏(アンニョン、兄ちゃん)」パク・ウォンサン、本部の上官には、お馴染みキ・ジュボンやアン・ネサンの顔も見えます。

呪われた廃墟での惨劇、ってテーマはありふれているので、二番煎じだろうと敬遠していたのですが、見てみると、これがなかなかの力作。「カル」の脚本を書いたコン・スチャン監督のシナリオは、さすがに良く練られていて、9人の調査隊一人一人が良く書き込めていたり、勿論一人ずつ惨殺されていくのですが、それが超常現象によるのでなく、自ら仕掛けた罠とか同士討ちだったりと人間の怖さが巧く表現されていたりと、ゾクゾクするような恐怖感に奥行きが感じられるところが見事です。さらに、全編カンボジア、ベトナムでロケしているのですが、廃墟となった元仏軍保養施設や寺院、草原、ジャングルなど雰囲気たっぷりで、丁寧な絵作りも確かな職人の腕を感じさせます。

勿論、幽霊目線を多用する安易さがあったり、全員が同じ戦闘服なのでせっかく書き込まれた一人一人のエピソードが良く区別出来なかったり、過去の惨劇の説明が分かりにくかったり、そんな所もあるにはありますが、カム・ウソンの冷静な演技も光る、戦争ホラーの佳編と呼んで差し支えないと思います。