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もう一本、パク・シニャンつながりで、「手紙」。

江原道チュンチョン(春川)市の外れ、美しい自然に囲まれたキョンガン(京江)を舞台に描く、痛切な夫婦愛の物語。キョンガン駅で出会った植物研究員と国文科大学院生は、恋に落ち、やがて、結婚。しかし幸せもつかの間、夫が悪性の脳腫瘍にかかっていることが分かり、ついには他界してしまう。そんなある日、失意の妻の元に、死んだはずの夫からの手紙が届く…

主演は、パク・シニャンとチェ・ジンシル。パク・シニャンの先輩に、『ホテリア』レオことチェ・ヨンミンの顔も見えます。

前半45分はとても正視に耐えないラブラブ調、病気が分かってからは重い悲劇調、そしてラストは…と、普通ならかなりけなすタイプの作品なのですが、この二人の演技を見ていると、画面から目を離すどころか、画面に引き込まれていくから不思議です。良く見ると、シナリオも良く出来ていて、前半と後半を巧みにつなぐ、藤椅子、笛吹ケトル、振り子時計、トリック・コインなんかの小道具も洒落てますし、チェ・ジンシルの初講義のエピソードが後で活きるあたりの演出には、参った、と云わざるを得なかったりします。

勿論ちょっとやりすぎかと思う所もないではないですが、夫婦愛を描いた映画としては「ラスト・プレゼント」を凌ぐ出来ばえと云えるでしょう。

ちなみに、パク・シニャンが妻の誕生日プレゼントとして送る詩集は、彼が朗読した「楽しい詩」を含む60編の詩を収めたファン・ドンギュの「三南に降る雪」です。

余談ですが、ドラマ『パリの恋人』は多くの人を魅了しましたが、その最大の理由がパク・シニャンとキム・ジョンウンという二人の「映画俳優」であることは論を俟たないでしょう。特にパク・シニャンの、それまで実験映画、メロ、アクション、コメディを通じて千変万化に発揮される演技力があったればこそ、あのハン・ギジュという青年社長像が生きたのだと思います。「ミスター主夫クイズ王」の天才子役ソ・シネと共演する「まぶしい日」の予告編を見ましたが、さらに磨き上げられたパク・シニャンが見られそうで、期待絶大です。