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パン・ウニつながりで、「プワゾン」。

世紀末型クライム・ムービーの佳編。トラウマから極度の不眠症を抱える童貞タクシー運転手は、「プワゾン」の香りと睡眠薬で男から金を巻き上げる女に売上金を盗まれるが、逆に彼女の虜となっていく。一方その女にヒモのようにまつわりついている悪辣な刑事は、次第に悪行をエスカレートしていき、三人の運命はどんどん狂っていくことに…

タクシー運転手には、銀幕二本目ながらすでに強烈な存在感を見せるパク・シニャン、「プアゾン」の女には、見事な脱ぎっ振りイ・スア、ニーチェに心酔する悪徳刑事に、イ・ギョンヨン、タクシー運転手を助けるバイク野郎に、ユ・オソン、その仲間に、パン・ウニ、パク・シニャンを殴る客に、名優ミョン・ゲナムの顔も見えます。

序盤は、パク・シニャンとイ・スアの独白を中心した過度に文学的哲学的っぽい描写が相当鼻につくのですが、友達としてのユ・オソンや敵役としてのイ・ギョンヨンが彼らに絡んでくると、「ゲッタウェイ」のようなスタイリッシュなクライム・ムービーの香りが漂ってきます。激しい情交シーンや暴力シーン、或いは、かなりエキセントリックなデートシーンもありますが、暗い過去を背負った二人の男女の無軌道で不器用な生きざまが、じっくり伝わってきます。

いささか過激で古めかしくはありますが、「タクシー・ドライバー」デ・ニーロを思い出させるパク・シニャンの名演もあって、ズンと響いてくる一本だと思います。

ちなみにイ・スアが「泣かない」「ポップコーンを食べない」「映画館に行かない」という三つの禁を一度に破り、パク・シニャンと見にいった映画は、ウーピー・ゴールドバーグ「エディー/勝利の天使」(1996)です。