もう一本、チョ・スンウつながりで、「とかげ」。
この映画には困りました。二人が二度別れ、二度再会するまでの前半三分の二は、実に魅力的な出来ばえなんですが、説明調の後半三分一は全く受け入れ難い、という極端な一本です。
主演は、実生活でも「恋人以上」の関係、チョ・スンウとカン・ヘジョンなんですが、ともかくこの二人は素晴らしいです。特に、カン・ヘジョンの「トンマッコル」名演を思い出させる、幻想的で不思議でキュートな感じは、絶対他の女優には出せない味です。一方のチョ・スンウは、今回はカン・ヘジョンの引き立て役に徹しているかのように少し抑え目ですが、まるで二人のプライベート・ビデオを見てるかのような、息の合ったヤリトリは、ともかく絶品です。他にも、ヤクザ顔なのに味がある、チョ・スンウ父の寿司屋主人カン・シニル、僧侶イ・ジェヨンの二人も素晴らしい味を出しています。医師役チョン・ジニョン、イ・ヒョンチョルや患者役パク・シネの出演も嬉しいんですが、後半なので殆ど記憶にありません・・・
後半が受け入れられるかは、とにかくこの少女に起きたきわめて残酷なシチュエーションを物語として受け入れられるか否かにかかっています。現実として発生している悲劇をファンタジーとして描くことは、余程の手腕がない限り難しいのですが、個人的には、この映画の後半はそれに成功しているとは全然云えないというの正直な所で、チョ・スンウとカン・ヘジョンには、もっと違う映画で再共演して貰いたいと思います。
ちなみに、カン・ヘジョンの子供時代を演じた子役ピョン・ジュヨンですが、「女子高生の嫁入り」ではイム・ウンギョン、「私の彼のロマンス」でキム・ジョンウンの子供時代を演じて、「このまま死ねない」でも抜群の演技を見せていますが、ここでもまだ7~8才の筈なのに、カン・ヘジョンが持っている不思議な感じを、そのままに演じていて、良い意味で末恐ろしいものを感じます。
余談ですが、韓国にも長い名前の笑い話があるのか、とかげの名前が「チルカカクルクルカンタビアサウルス」であるところから、「寿限無、寿限無・・・ポンポコナーの長久命の長助」の韓国版を子役の男の子に喋らせたりしています。韓国の子役はほんと何でもこなします。