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カン・スヨンつながりで、「女と男 愛の終着駅<我らは今ジェノバへ行く>」。

カン・スヨンやイ・ヨンハの演技はいいんですが、作品自体は何となくバランスの悪い社会派メロドラマです。

父親の還暦祝いに故郷へ帰る電車の中で付いてきたヒモに全財産を持ち逃げされ睡眠薬自殺を図る娼婦に、前年ベネチア映画祭を制したカン・スヨン、同じに電車に乗り合わせたベトナム戦争後遺症で仕事も妻子も失い放浪する男に、80年~90年代に3度大鐘主演男優を獲り98年以降は『サンドゥ、学校へ行こう』『ごめん、愛してる』『白雪姫』とかTV中心に愛嬌と哀切を振りまくイ・ヨンハ、逃げたヒモには、恐らくコメディアンであろうチョン・スンホ。ヒポクラテスを自称する磊落な田舎医者に、「グエムル」で名演のピョン・ヒボンの顔も見えます。

カン・スヨンの、恐らく長らく会っていない両親に渡そうと下ろした、体を売って貯めた全預金を盗まれ、行き場を失い自暴自棄になる演技も良いですし、ベトナムでの悪夢が職場のタイプライターの音や夫婦生活をきっかけにフラッシュバックして狂乱するイ・ヨンハも、TVでは見せない熱い演技を見せてくれますし、多分スタンダップ芸人の経験があるに違いないチョン・スヨンは、コミカルな歌と踊りやテキ屋口上が洒落てたり、と演技陣はいいんですが、ベトナムの後遺症を抱える男と場末の娼婦の関わりが少し浮き世離れした奇麗事になってる上、あまり意味があるとも思えない露出度の高いエロシーンがあったり、ヒモのちょっとコミカルな逃避行とかも被って、全体に座り心地が良くない気がします。

カン・スヨンだけでなく、今回はイ・ヨンハの名演も加わり、個人的には見て得した、とは思いますが、作品自体は〇曜2時間ドラマ以上の出来とは思えないので、カン・スヨン、イ・ヨンハのファン以外にお薦めするのは難しい感じです。