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もう一本イ・ミスクつながりですが、イ・ジェヨン監督に戻って、「スキャンダル」。

韓流ど真ん中俳優ペ・ヨンジュンの初主演映画とのことで、長らく敬遠していたのですが、イ・ジェヨン監督作ですし、イ・ミスク、チョン・ドヨンが出てるので蛮勇をふるって見ましたが、う~ん、やっぱり微妙な出来です。映画の中でもふれられる水原華城を築いた「永遠なる帝国」主人公22代朝鮮王正祖の時代18世紀末を舞台に繰り広げられる、貴族社会の愛と快楽のゲームを描く、コデルロス・ド・ラクロ「危険な関係」の何度目かの映画化。

バツイチ貴族プレイボーイに、映画初主演ペ・ヨンジュン、そのいとこで大監夫人に、イ・ミスク、貞淑な処女未亡人(婚姻前に死別)に、天才チョン・ドヨン、隣家の末息子に、『薯童謡(ソドンヨ)』で人気爆発チョ・ヒョンジェ、裸も見せてくれる大監の16歳側室に、『春のワルツ』眼鏡のキャリア・ウーマン役イ・ソヨン。

原作は1782年に書かれた175通の手紙からなる書簡文学だそうで、ほぼ同じ時期の李氏朝鮮貴族社会への翻案は的を得ているのですが、残念ながら、全体に平板な感じが免れられません。理由は二つ。昌慶宮、南山伝統韓屋村、瀟灑園とか現存する史跡でのロケが多いのですが、その「いかにも」的な使い方が「○曜サスペンス」観光案内風の雰囲気をもたらすこと、と、ペ・ヨンジュンとチョ・ヒョンジェというTV男優がどうも二時間枠に魅力を凝縮するタイプではないことで、それに引きずられてか、あの天才チョン・ドヨンも巧いのは勿論巧いのですが、こんな役お茶の子さいさいよ、って軽い感じの演技に感じられたりします。

またイ・ジェヨン監督の「純愛譜」の演出を忘れてしまったかのようなストレートな演出もかなりもの足らず、もっと弾けた演出をすれば傑作になり得たのではないか、その欲求不満が次作「多細胞少女」で異様に爆発したんじゃないか、って勝手に想像したりしています。

この映画の最大の見所は、華麗な衣装を着こなし、ド派手な髪形にも見事に馴染んで、重厚で傲岸で、何より妖艶なイ・ミスクです。40歳をいくつか過ぎてるんですが、化粧シーンでの顕微鏡を使って撮ったのかと思う程の接写では、その美しさに目眩がします。これまで、ジャンヌ・モロー、ナタリー・ドロン、グレン・クローズなどがこの役を演じてきていますが、決してヒケを取らないだろうと思います。

ヨン様ファン、イ・ミスク信者限定の一本でしょう。